塩基説明

土壌の保肥力
塩基置換容量CEC


   土壌には施用された肥料を蓄える力があり,肥料持ちの良い土壌や砂のように肥料持ちの悪い土壌もあります。これらは良く『保肥力』という言葉で表現されます。この保肥力の指標となるのが塩基置換容量CECです。肥料を蓄える力を胃袋や器に例えて説明することがよくあります。
   通常,土壌はマイナスの電気を多く持っており,そのマイナスの電気がプラスの電気を持ったカルシウム(Ca2+),マグネシウム(Mg2+),カリウム(K+),アンモニウム(NH4+)を電気的に吸着保持しています。これによって降雨などにより簡単に流れてしまわないようになっています。このマイナスの数が多いほど保肥力が大きいということになります。このマイナスの数が塩基置換容量CECなのです。

塩基説明1

   塩基置換容量は,砂では10以下と小さい土壌もあれば,世界の中でも肥沃なチェルノーゼムでは50~60程度あります。通常15程度以上あれば良いとされていますが,土壌によって異なります。この項目も土壌の固有の特徴ですので,急激に改良することは難しいです。

置換性塩基(カルシウム,マグネシウム,カリウム
   植物に必要な養分のカルシウム(石灰),マグネシウム(苦土), カリウム(加里),これらは『塩基』と呼ばれます。しかし,『塩』と聞いて食塩(塩化ナトリウム)を想像する人がいると思いますが,土壌の世界の『塩』はカルシウム,マグネシウム,カリウムなどの陽イオンと塩素,硝酸,硫酸,炭酸などの陰イオンがくっついてできたものが『塩』なのであり,その『基』となるカルシウム,マグネシウム,カリウムなどが『塩基』なのです。
   植物が利用可能な塩基の指標が置換性塩基になります。置換性塩基は溶け出ているものや土壌に電気的に吸着されたものが含まれます。

  塩基同士には拮抗作用もありますので,ある程度のバランスが必要です。置換性CaO,置換性MgO,置換性K2Oからカルシウム,マグネシウム,カリウムそれぞれの当量を算出し比較します。「Ca/Mg」:5.0~10.0,「Mg/K」:2.0~12.5,「Ca/K」:6.5~37.5にあるのが良いでしょう。
当量算出方法: Ca当量=置換性CaO×3.57
Mg当量=置換性MgO×4.96
K  当量=置換性K2O×1.21
塩基飽和度
   塩基飽和度とは上記で説明した塩基置換容量CECに対して,置換性塩基が満たしているかを表したものです。この塩基飽和度は土壌pHと関係があり,塩基飽和度が高くなれば土壌pHも高くなります。また塩基置換容量CECが胃袋に例えられるように,塩基飽和度もおおよそ60~80%程度が良いとされています。つまり腹八分目といったところが望ましいです。
  土壌によって塩基置換容量CECが異なりますので,それを満たす置換性のカルシウム,マグネシウム,カリウムの量も変わってきますので,それぞれの置換性塩基の量は塩基飽和度と見比べながらの判断が必要です。

塩基説明2