ソルガムはアフリカ原産のイネ科作物で、比較的高温で乾燥した条件を好みます。夏季の高温条件下での生産性が非常に高く、都府県ではトウモロコシや飼料用イネに次ぐ主要な飼料作物です。
ソルガム類はトウモロコシに比べ形態的な変異が幅広く、利用目的に合わせてタイプ及び品種を選定する必要があります。一般的には以下の5つのタイプに分類されています。
(1)ソルゴー型ソルガム
草丈が2.5m以上に伸び、茎葉に対する子実の割合が少ないタイプです。大柄で収量性が高く、また、良質なサイレージ発酵をしやすい糖含量の高い品種が多いことから、トウモロコシ等の収穫機械を流用した細切サイレージ利用に適したタイプです。
(2)子実型ソルガム
草丈が2.0m以下と小柄で、茎葉に対する子実の割合が高いタイプです。収穫した際の取り回しに優れ、軽トラックの荷台にも容易に収まることから、その日に給与する量だけを収穫する青刈りで利用しやすいタイプです。また耐倒伏性に優れる品種が多く、園芸作物の防風用にも使われています。
(3)兼用型ソルガム
上述したソルゴー型と子実型の中間タイプであり、草丈は2.0~2.5mと中程度、子実型のような大きめの実が着きます。兼用型ソルガムの“兼用”とは「茎葉主体の青刈りやサイレージ利用」と「穀物としての子実利用」を指し、子実利用が少ない日本ではあまり馴染みがない表現かもしれません。トウモロコシと混播した際、草丈がソルゴー型程大きくならないためトウモロコシの実入りを邪魔しにくく、トウモロコシ収穫後の再生草の収量が子実型よりも期待できることから、混播利用には最も適しています。
(4)スーダングラス
呼び名は異なりますが、れっきとしたソルガムの仲間です。“グラス”の名前通り、細茎で分げつが多く、牧草のようなロールベールサイレージ利用に適しています。また、他タイプに比べ収穫後の再生が良好で、複数回収穫することで高い収量性を発揮するタイプです。
(5)スーダン型ソルガム
子実型ソルガムにスーダングラスを交配した一代雑種の品種を指し、これらの中間型の形態を示します。青刈りや細切サイレージ、ロールベールと幅広く利用できますが、専用品種には収量性や品質で一歩及ばず、器用貧乏な面があります。一方、雑種強勢により他タイプに比べて生育が早いことから、再生させて複数回収穫する青刈りや放牧、素早く地表を覆う必要のある緑肥利用では力を発揮するタイプです。