芝生管理は、施肥から始まります。施肥をすると生育が促進され、病害罹病の予防になります。施肥をすると草丈が伸びるため、刈取りを行います。芝生は刈取られることで密度が高まり、雑草侵入の予防になります。刈取りをすると養分が少なくなるため、また新たに施肥を行います。このサイクル(図 3-1)が崩れると、病害に罹病し、雑草が多く、美観の低い芝生になってしまいます。

(1)施肥
畑利用の肥料では「肥料焼け」を起こす危険があるため、成分量が8-12-10%程度の芝生専用の化成肥料を使用します。春期から秋期にかけて月に1回、1回当り窒素成分量で2~4g/㎡(化成肥料で30~40g/㎡)を施肥します。散布ムラを防ぐために縦横斜めに数回に分けて、散粒器を使って施肥します。夏期の高温時は芝生の生育が衰えるため、液肥を散布すると効果的です。
(2)刈取り
芝刈り機は、リール式(回転刃と下刃の噛合わせにより刈取る)とロータリー式(プロペラ状の回転刃で叩き切る)があり、どちらも手押し式(写真 3-1)と自走式があります。数100㎡規模の大面積の芝生管理には乗用の芝刈り機(写真 3-2)が便利です。
草丈25~30mmの芝生を維持するためには、週1~2回以上の刈取りが必要です。刈りカスが芝生の中に集積すると病虫害の発生源となるため、必ず集草します。草丈の1/3以上を刈取ると、芝生が茎だけになり密度が低下してしまうため、一旦伸ばしてしまった芝生は、刈取りの度に徐々に刈高を低くしていきます。

(3)散水
夏期に晴天の日が1週間程度続いたらスプリンクラーなどで散水を行います。昼間の散水は湿度が高まり高温多湿で病害が発生しやすく、また夕方の散水は夜間の地温が下がり生育が停滞しやすいと言われているため、散水は午前中に行います。芝生は一度乾燥すると、部分的に水の浸透が悪くなることがあります(ドライスポット)。このような場合は、コアリング(穴あけ)作業を行います。
(4)雑草防除
施肥と刈取りを随時行い、芝密度を高く維持することにより、雑草の侵入はある程度軽減できます。雑草種子を飛来させないように、周囲の雑草地は定期的に刈払います。
広葉雑草の発生が著しい場合は、広葉雑草選択性の除草剤を5~9月の雑草の生育期に散布します。
(5)病害防除
芝草の病害の多くは、肥料不足や過剰、排水不良、高温多湿、サッチ(未分解有機物)の集積など、芝草が健全に生育していない時に罹病します。最適な管理をしていれば、病害で枯死することは殆どありません。罹病が甚だしい時は、病害に対して効果のある殺菌剤を散布します(図 3-2、写真 3-3~3-8)。
なお雪腐病の殺菌剤散布は11月中旬~下旬であり、融雪後には防除できません。病斑は、施肥と刈込みで回復させます。ケンタッキーブルーグラスは多少罹病しますが、無殺菌でも越冬できます。




(6)虫害防除
幼虫類は芝草の根を食い荒らし、芝生は褐色化し、手で引張ると容易に剥がれる状態になります。また幼虫類を餌にする鳥類が芝生を荒らしに来ます。虫害の発生時には、殺虫剤を散布します。
(7)目土散布
芝草の生育が盛んな5~6月または8月下旬~9月中旬に、市販の目土を2~3mm散布し、芝目に良く擦り込みます。目土の量が多く、芝草の葉が隠れてしまった所は、数日で枯れることがあるので注意が必要です。雑草種子の混入が少ない「芝生用目土」を使用します。
(8)コアリング
通気性の改善、土壌固結の緩和などを目的に、ローンスパイク(写真 3-9)またはフォークなどを利用して、コアリング(穴あけ)を行います。芝草の生育を見ながら、通常は年に1~2回、芝草の生育が盛んな時期に行います。
