1.原因不明の乳房炎が多発! 2.代謝プロファイルテストの実施 |
3.サイレージ良質化に向けた関係者による打ち合わせ 4.早春スラリーの散布制限 5.サイレージ用乳酸菌の必要性 |
6.発酵品質が悪いと、サイレージの成分も低くなる! |
7.そしてバルクの牛乳が溢れた! |
8.その他の経営改善 1)暑熱対策 例年、暑熱時期は大腸菌性の乳房炎に悩まされてきました。そこで、平成23年夏には写真1にあるようなリレー式換気を導入しました。通常フリーストール牛舎でリレー式換気をつける優占順位は、①給飼路、②牛舎の中側にあるストールの列、③牛舎の外側にあるストールの列となっていますが、エスエルシーでは乳房炎対策として、特にストールを乾燥させたいという理由から、給飼通路にはつけずにストールの上2列にリレー式換気をつけました。 また、乾乳牛の暑熱対策も行いました。乾乳後期はフリーバーンですが、その天井に首振りタイプのファンをつけました(写真2)。これら暑熱対策により夏以降の乳量の落ち込みや、暑熱時期の大腸菌性の乳房炎が少なくなりました。 2)乾乳牛の飼養管理 乾乳牛は二群に分けられており、クロースアップの群へは約3週間前に移動します。その群のフリーバーンの横臥するスペースは約150㎡で、一頭当たり10㎡の横臥スペースを確保するため、クロースアップの頭数は15頭に制限しています。敷料はオガ粉を約30cmの厚さに敷いており、大腸菌の感染を防ぐため消石灰を混合しています。クロースアップはTMRを給与しており、なるべく搾乳牛の飼料構成と近づけて馴致をするようにしています。 3)搾乳牛の給与メニュー 搾乳牛TMRはグラスサイレージ、大豆粕、とうもろこしフレーク、指定配合というシンプルな給与メニューです。飼料給与は人手が変わるので、混合誤差がないように単純なメニューにしています。今年の3月より指定配合にバイパス油脂を配合しました。それにより平均乳量が2~3kgアップしました。バイパス油脂の配合により指定配合の単価は高くなりましたが、以前に比べ濃厚飼料の給与量は1~2kg減っています。それはサイレージが良質発酵することにより、栄養価が高くなっているからです。 エスエルシーでは毎日フットバスを行っており、足の状態が非常に良いです。それに加え、周産期病、乳房炎の減少により淘汰、廃用にする牛が減りました。今年は経産牛の数が増えすぎるので、育成牛の売却も行っています。 |
写真1 リレー式換気 |
写真2 首振りファン |
9.おわりに 代表である売場利国さんは社員を非常に大事にしており、エススエルシーの職場環境はたいへん良いです。出荷乳量が一日6千kgを超えた際も、社員に対しインセンティブを支払いました。労務管理も効率的になされ、業務記録はしっかり残っています。今回、出荷頭数等の数字がまとめることが出来たのも、これらの記録が残っていたためです。 しかし、ここ数年はたいへん苦労されたと思います。それでも常に改善を試みて経営を好転させまし た。今後は更に成績を伸ばして、より安定した経営を実現してもらえればと思います。 |