(1)西南暖地
①早生品種
イタリアンライグラスの早生~中生品種を4月に収穫後、ソルガムを5月中に播種し、梅雨明け以降に収穫する体系が主となります。早生品種を5月播きすると、7月下旬~8月上旬に出穂し、台風が増える8月後半に入る前に1番草を収穫することができます。再生草の生育期間も十分確保できますので、西南暖地でソルガムを栽培するには適した体系です。
②中生~極晩生品種
中生品種は1番草が早生品種よりも多収となりますが、収穫時期に台風がぶつかるリスクが早生品種よりも高まります。また、2番草が十分に登熟する前に温度が下がり生育がストップしてしまう可能性があります。極晩生品種は9月下旬~10月上旬にならなければ出穂しないので、やはり十分に登熟しない状態で収穫することになります。中生品種の2番草や極晩生品種の収穫は、登熟を目安にせず、初霜が降りて茎葉が少し枯れ、水分がやや下がった状態を目安に行います。
③梅雨の影響
イタリアンライグラスを2番草まで収穫すると、播種前あるいは播種直後に梅雨入りしてしまいます。その場合、播種は梅雨明けを待ってから行います。梅雨明けの時期が早ければ中生品種、遅れた場合は早生品種を播種します。
(2)関東・中部
①イタリアンライグラスとの組合せ(中生品種)
イタリアンライグラス早生~中生品種の播種時期が10月、収穫時期が4月下旬~5月上旬となるため、輪作を前提とした場合、ソルガムを2番草まで収穫することは難しくなります。中生品種を5月中~下旬に播種し、8月下旬~9月上旬に1番草を収穫し、その後は10月のイタリアンライグラスの播種に備えるのが推奨されます。
②オオムギ、ライムギ、ライコムギとの組合せ(早生品種、極晩生品種)
ソルガム早生品種の2番草や、極晩生品種の収穫適期は10月以降となり、イタリアンライグラスの播種適期と重複します。冬作には11月以降も播種できるオオムギやライムギ、ライコムギの利用が推奨されます。
(3)東北南部
平均気温15℃以上となる生育可能な期間が短く、早生品種であっても2番草まで収穫するのは難しいため、1回刈りでも収量性の高い中生品種や極晩生品種を栽培します。収量性を重視するならば極晩生品種を、サイレージの発酵品質を重視するならば栽培期間中に登熟が進む中生品種を選択します。
裏作にはイタリアンライグラスよりも寒さに強いライムギが推奨されます。特にライムギは麦類で最も耐寒性に優れますが、出穂すると嗜好性と消化性が低下しますので、遅くとも出穂始めには収穫するようにします。