4.アルファルファ草地の施肥方法

 アルファルファは根粒菌を着生させ、窒素は根粒菌から供給されますので、アルファルファの混生割合が70%以上の草地は窒素が必要なく、リン酸とカリだけで十分栽培できます。アルファルファ草地に対する施肥標準も北海道から示されています。造成・更新時の施肥管理については、別稿「草地管理 2.牧草の施肥方法」をご参照ください。
(1)造成時の堆肥の上手な使い方
 アルファルファは排水が良く、肥沃な土壌に適します。このような土壌に改良するためには、物理的な改良と時間はかかりますが次のような方法があります。
 トウモロコシの栽培適地においてはスラリー、堆肥などを鋤きこみながら数年間栽培した後にアルファルファを播種すると、初年目のスタンド確立が容易にできます。堆肥はカリの含量が高く、次いで窒素、最も少ないのはリン酸です。カリはアルファルファを維持するためには十分な量が必要であり、窒素も根粒の着生が不良な時には施肥しなければならない肥料分です。このように考えると牛の糞尿はアルファルファに適した有機質肥料といえます。また、造成・更新時には十分なカルシウムを施用する必要があります。目標pHは6.5以上であり、施用する目安は表 4-1の通りです。

 トウモロコシが作付けできない冷涼な地帯では、ライムギの利用も考えられます。ライムギは小麦よりも雪腐病に強く、越冬性が優れます。ライムギのアルファルファ前作での利用方法は以下の通りです。
①更新予定草地の1番草又は2番草収穫後、再生草が40cm程度に生育したときにグリホサート系除草剤を全面散布して枯死させる。
②完全に枯死したことを確認した後、堆肥・炭カルを十分に施用してから耕起・整地して9月中~下旬までにライムギの播種を済ませる。雪腐病の防除は行わずに越冬させる。
③ライムギは5月下旬から6月上旬にかけて出穂するため、サイレージ利用の場合は出穂期までに、敷料に利用する際には黄熟期以降に収穫する。
④敷料に利用した場合、ライムギが結実し、落ち種となって発芽する場合があるため、その場合は落ち種を発芽させてから表層を攪拌し、堆肥を施用後に耕起する。
⑤整地・鎮圧後、牧草を遅くても9月上旬までに播種する。
⑥注意事項として、結実させた場合収穫期に赤カビが発生する時があるので防除が必要。
草地から草地への完全更新となると、数十年間も更新していない草地の不良な下層土に牧草を播種することになりますが、前作にライムギを栽培することで有機物に富んだ状態の土壌にアルファルファなどの牧草を播種することができます。
トウモロコシもライムギも利用しない時には、堆肥が十分施用されている更新回数の多い草地にアルファルファを栽培します。
(2)維持段階での施肥
 維持段階においても堆肥を上手に利用することをお勧めします。2年目以降の北海道の施肥標準を表 4-2に示しました。アルファルファが優占した草地は窒素を控えめに、アルファルファ草地として利用し、アルファルファが少ない草地は、イネ科優占草地として窒素を少し多めにして利用します。
 チモシーとの混播では2回刈りを前提として、施肥配分は早春:1番草刈取り後 = 2:1とします。オーチャードグラスとの混播では年間3回利用を前提とし、施肥配分は早春:1番草刈取り後:2番草刈取り後 = 1:1:1とします。
 土壌pHが6.0以下であれば、維持管理時においても定期的に炭カル等の土壌改良材を投入し、土壌pHを維持することが必要です。 
 pH5.5~6.0の場合は、40kg/10a/年とされており、2~3年分を一括施用することも可能です。pH5.5未満の場合、0~5㎝土層のpHを6.0に改良するのに必要な量を投入します(草地管理 2.牧草の施肥管理 表 2-4参照)。