2.イタリアンライグラスとの混播栽培

 飼料用ムギ類はよくイタリアンライグラスと混播して利用されています。いろいろな組み合わせがありますが、ここでは代表的な混播の組合せを記します。
(1)夏播きでの混播栽培
 夏播きの極早生のエンバクやオオムギにイタリアンライグラスを混播し、年内はムギを主体に収穫、その後再生するイタリアンライグラスを春に収穫する省力的な栽培方法です。年内にムギを刈れることで増収になり、水田裏作などで年によって湿害によるムギ類の生育阻害が心配される場所でも、湿害に強いイタリアンライグラスが入ることによって大きな減収を回避できます(常時水はけの悪い場所ではムギ類の栽培は避ける必要があります)。
混播の場合、ムギの生育の方が早いので、播種量が多いとイタリアンライグラスを被圧してしまい再生しなくなるので注意が必要です。播種量は10aあたり、エンバクは3㎏、オオムギは4㎏までが推奨されます。イタリアンライグラスは標準播種量の3~4㎏とします。
 九州などでは、あまり暑い時期に早くイタリアンライグラスを播くと、いもち病が発生して立ち枯れすることがあるので、播種は暑さが和らぐ9月中旬以降と遅めにした方が賢明です。

(2)秋播きでの混播栽培
 秋播きでの混播では、イタリアンライグラスの播種適期を逃し発芽不良や冬枯れが心配される場合に、耐寒性が強く低温発芽性に優れるムギ類を少量混播してイタリアンライグラスの冬枯れ予防や、イタリアンライグラスよりも乾物多収なムギ類を混ぜて増収効果を狙うというような使い方があります。
①ライコムギとイタリアンライグラスの混播
 倒伏に強く乾物多収なライコムギと嗜好性の良いイタリアンライグラスの混播により、イタリアンライグラスの倒伏防止や混播草の嗜好性の向上などが期待できます。播種量はライコムギ3~4㎏/10a、イタリアンライグラス3㎏/10aが推奨されます。
②ライムギとイタリアンライグラスの混播
 積雪地帯でイタリアンライグラスを栽培する場合、雪の多い年は耐雪性が比較的強い品種でも雪腐病等の被害 が大きくなることがありますが、その対策として雪腐病に強いライムギ2~3㎏/10aを混播して被害を予防するのも一つの方策です。
③オオムギとイタリアンライグラスの混播
 秋播きの混播栽培ではオオムギとイタリアンライグラスの混播が推奨されます。混播することによってどちらの単播よりも多収になり、倒伏の軽減効果も見込めます。またオオムギはイタリアンライグラスより低水分なので、水分調整にも役立ちます。その他、イタリアンライグラスの遅播きによる減収分を、オオムギを混播することによりカバーするという使い方もあります。イタリアンライグラスは播種適期を逃して播種が遅れると春の収量が大きく減ることがあり、出穂の早い品種ほどその影響が大きくなる傾向があります。
 イタリアンライグラスは3kg/10a、オオムギは2~3kg/10aを目安に播種します。