粗飼料分析項目について

   粗飼料分析では下記のような項目について行っています。

粗飼料分析項目1

   分析項目は下記のような関係になっております。

粗飼料分析項目2

○粗飼料分析における繊維
   繊維についてはいくつかの画分に分かれております。総繊維を示す項目をNDFといい,中性デタージェントに不溶な繊維画分を指し,その中のセルロースやリグニンを含む繊維をADFといい酸性デタージェントに不溶な繊維画分を指します。また,酵素を用いてルーメン内での消化性を考慮した項目のOCWは総繊維としてNDF≒OCWと捉えられています。OCWの消化性の高い繊維をOa,低い繊維をObとしています。そのためOa + Ob = OCWとなります。

粗飼料分析項目3

○粗飼料分析における蛋白質
   粗蛋白質は試料中の窒素含量に6.25(蛋白質に含まれる窒素の割合が平均で16%であることから100/16=6.25となっています)を乗じて算出されます。
   牛は鶏や豚のように単胃動物ではなく4つの胃を持ち合わせています。そのため,蛋白質もいくつかの画分に分けて評価されます。大きく2つに分けられルーメン内で分解される蛋白質をDIP(分解性蛋白質)といい,ルーメン内で分解されずに通過して小腸以降で吸収されるか,吸収されずに糞と一緒に排出される蛋白質をUIP(非分解性蛋白質)といいます。その他にDIPの一部でルーメン内で急速にアンモニアまで分解される蛋白質をSIP(溶解性蛋白質)といいます。また,ヒートダメージなどにより繊維などと結合して吸収されずに糞と一緒に排出される蛋白質を結合蛋白質といいUIPの一部として含まれます。

粗飼料分析項目4

○粗飼料分析における炭水化物
   植物の細胞内容物に含まれる炭水化物は非繊維性の炭水化物が主体であり、糖、澱粉、ペクチン等が含まれます。概念的にはNFC = 100-( 粗蛋白質+粗脂肪+NDF+灰分 )で算出されますが,分析上NDF中には繊維と結合した蛋白質(NDICP)が含まれるため,この計算では粗蛋白質を差引くことでNDICPを2度差し引いたことになりますので過小評価されてしまいます。

粗飼料分析項目5

   現在,粗飼料分析ではNDICPを差引いたNDFを用いるか,NDICP分の蛋白質を差引いた蛋白質を下記の式を用いています。他飼料では下線部式が下記表のようになる。
                   NFC=100-灰分-NDF-{( 0.91×粗蛋白質-1.1)+粗脂肪}

粗飼料分析項目6

○可消化養分総量(TDN)について
   TDNは飼料のエネルギー含量を示す指標として用いられています。粗蛋白質,粗繊維,粗脂肪,NFE(可溶無窒素物)それぞれの可消化分を合計したものとなります(粗脂肪のみ高カロリーのため2.25倍する)。
   しかし,この方法でTDNを算出するには各試料ごとに上記成分の消化率が必要となってきます。これには大変な労力と時間が必要となってしまいます。そこで消化試験から得られたデータと化学分析値からTDNを推定する方法が取られております。現在はNRC2001の内容に即した式にてTDNを推定しております。式は下記の通りです。この式は道内で粗飼料分析を行っている機関で採用されています。

粗飼料分析項目7

・ 牧草・飼料作物の硝酸態窒素含量と家畜中毒

粗飼料分析項目8

・サイレージ発酵品質について
   V-SCOREとは,V-SCORE=YN+YA+YBで算出される。
   有機酸だけでなくVBN/T-Nも含め悪い発酵から減点方式で算出され、より総合的に判定。もう一方のフリーク評点では乳酸含量を考慮するため、乳酸菌添加剤により過大評価されるときがある。またフリーク評点は高水分サイレージに適するが、低水分や発酵が抑制されたサイレージなどは過小評価になる場合がある。

粗飼料分析項目9