6.シロクローバの特性と品種

 シロクローバは、本来は中性で肥沃な土壌を好みますが、アカクローバと同様に多少の不良環境でも生育しやすいため、北海道において広く利用されているマメ科牧草の一つです。シロクローバの用途は広く、アカクローバやアルファルファは採草にしか利用されませんが、シロクローバは採草だけでなく、放牧にも利用されます。また、シロクローバは小葉の大きさにより競合力が強いもの、中程度のもの、弱いものに分かれ、ほとんどのイネ科牧草と混播することができます。
(1)シロクローバの栽培特性
 シロクローバはマメ科牧草であるため、たん白質やミネラル含量が高く、共生する根粒菌の働きによって土壌に窒素を供給する役割もあります。さらに、シロクローバは匍匐茎によって横に広がるため、草地にできる裸地を埋めて雑草の侵入を防ぐ役割があります。

(2)シロクローバの3つのタイプ
 シロクローバは小葉の大きさにより大葉型、中葉型、小葉型の3つのタイプがあります(写真 6-2)。小葉が大きいほど生育が旺盛であり、混播するイネ科牧草に合わせてシロクローバのタイプを使い分ける必要があります(表 6-1)。
 大葉型は競合力が強く、主にオーチャードグラスなど競合力が強いイネ科牧草との混播に適しています。中葉型は生育が穏やかでイネ科牧草を抑圧するリスクが低く、チモシーの極早生から中生品種、ペレニアルライグラスなど多岐にわたって混播利用が可能です。小葉型は主に競合力が弱いチモシーの中生、晩生品種との混播に利用されます。
 また、シロクローバは混播するイネ科牧草や品種だけでなく、利用目的(採草、放牧)によっても品種が使い分けられています。例えば、小葉が小さいほど短草条件で密度が高く生育が良好なことから、放牧利用には小葉型~中葉型が多く利用されています。

(3)シロクローバの使い分け
 シロクローバの使い分けについては、地域や播種時期、土壌条件などによっても変わります。例えば、根釧などの冷涼地域ではマメ科牧草が衰退しやすいため、チモシーの早生品種に大葉型のシロクローバを混播する場合もあり、逆にチモシーの生育が抑圧されてマメ科牧草が優占しやすい条件では、チモシーの早生品種に小葉型のシロクローバを混播する場合もあります。
 混播組合せを誤るとシロクローバが優占してしまう場合があるので注意が必要です。播種割合に関する詳細は別稿「草地更新 3.採草地の混播例」をご参照ください。
(4)シロクローバの病害
 他の草種と同様に雪腐病が北海道における重要病害です。罹病すると、融雪後に小葉は海苔状になって腐り、匍匐茎は凍害で枯死します(写真 6-4)。越冬性に関与する要因として、雪腐病のほかに耐寒性があり、これらに対する強弱には品種間差があります。また、近年では越冬性や永続性を改善した品種の開発が進んでいます。