乳牛が摂取した栄養の多くは、先ず、ルーメン内に生息する微生物が利用します。即ち、乳牛を健康に飼うということは、ルーメン内の微生物を健康に飼うということです。 |
①摂取された蛋白質の中で、分解性・溶解性の部分は、微生物の出す酵素による分解作用を受け、 アミノ酸へ分解、更に微生物体内でアンモニアにまで分解されます。 乳量の増加に伴いそれに見合う栄養を充足させるために、濃厚飼料が多く給与されがちですが、基本は、出来るだけ乾物摂取量を高めること(粗飼料を食込ませること)です。反芻動物の基本は最適なルーメン発酵を維持することであり、ルーメン内の微生物がその活動を最大限に発揮するためには、充分な栄養が供給されるとともに、微生物が活動し易い環境を整えることが重要です。栄養の偏りは、アシドーシスをはじめ、様々な疾病の原因となります。 |
<蛋白質と炭水化物のバランス(分解スピード)> |
乾物摂取量を高めるということは、ルーメン内の飼料通過速度が速くなるということです。そのことから考えると、炭水化物のルーメン内消化率を高めることは生産効率を上げる上で非常に重要なことです。しかしそれは同時に、ルーメン内pHが低下し易い環境を作ることにもなります。つまり、高泌乳牛管理においては、ルーメン内微生物は、常に厳しい環境の中で生活している(ルーメンが酷使されている)ことになります。高泌乳を維持し、かつルーメンの恒常性を保つような給与飼料全体の蛋白質、炭水化物のバランスを考慮することが重要です。 |