(1)ストール ポイントは、牛がノーマルな状態で立ったり座ったりできることです。窮屈なスペースで牛が立ちあがろうとすると、牛に余分な圧力がかかり、肢蹄を痛めたり、乳頭を踏んでしまうことが多くなります。また、敷料についても正しい管理が必要です。 (敷料の備えるべき機能) ①適度なクッション性がある。 ②吸水性に優れている。 ③化学的に安定している(化学変化を起こさない)。 ④食べても毒にならない。 ⑤牛に対する病原菌、感染菌を含まない。 (2)換気 自然換気が最も経済的なカウコンフォートを達成します。換気の基本的な目的は、夏場は温度コントロールであり、冬場は湿度コントロールです。特に冬場の湿度コントロールが悪いと、呼吸器病や乳房炎の危険性が増加します。
<飼料給与と乳房炎> 高蛋白、低エネルギー飼料の給与体系の中では乳房炎が多くなる傾向があります。これは、分解性蛋白質の過剰、NFCの不足が肝臓への負担を大きくし、エネルギーの不足が肝機能を低下させることから、肝機能減退に伴う抗病力の低下が乳房炎菌の感染を容易にしていると考えられます。 (乳房炎の原因となる飼料給与) ①低エネルギー(肝機能低下→抗病力の低下)。 ②高蛋白(分解性蛋白質過剰の場合、肝臓への負担増)。 ③マメ科飼料の多給(エストロジェン様物質の乳腺への影響)。 ④品質不良の飼料給与(肝臓への負担増、ルーメン発酵の異常)。 ⑤硝酸態窒素の多給(ビタミンAの破壊と高蛋白給与)。
生菌数は環境衛生、牛体管理、搾乳衛生、ミルカーの設計、ミルカー洗浄技術、牛乳の冷却技術など様々な面で関連しており、これらが損なわれるとどんどん悪くなります。また、体細胞数は乳腺の健康の指標となります。体細胞数が高いということは乳腺に炎症があり、体の防御機能が活発になっていることを表しています。体細胞数の少ない牛乳を生産するということは乳房炎を制圧するということです。 これらの項目については、環境衛生をはじめとした、目に見えるところを変えることによって改善される可能性が非常に高くなります。既述した乳質管理に関する具体的作業は一部でしかありませんが、全てが関連しており、その作業を『安定した状態』で行う事がカギとなります。
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