<反芻とは?> 牛は、一旦食べたものを吐き戻して噛みかえし、再び呑み下すことを繰り返します。これを【反芻】と言います。
<反芻の効果-1 微細化> 反芻の効果の第一は、再咀嚼によるルーメン内容物の微細化です。微細化によって飼料片の表面積が大きくなることにより、微生物の付着面が大きくなり、発酵が促進されます。同時に、水分との接触面積も増加し、水和性が増します。 摂取した粗飼料は、先ずルーメンマットを形成し、ルーメン上部に浮遊しますが、水と馴染み、比重が重たくなるにつれて底に沈み、微生物による消化を受け易くなります。
<反芻の効果-2 唾液の分泌> 唾液の主成分は重炭酸ナトリウムで、他にりん酸塩が含まれており、pH8.5前後のアルカリ性を示します。反芻動物の唾液はルーメン発酵で生成される酸を中和し、ルーメン内の酸性化を緩衝して良好な発酵をさせる上で大きく役立っています。 唾液は3つの大きな唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と幾つかの小唾液腺より分泌されます。反芻動物では、唾液は常に流出しており、牛では1日に100~180リットルも分泌されています。牛の唾液は常に流出していますが、同じ速度で分泌されている訳ではありませN。分泌速度が高まるのは飼料摂取時と反芻時であり、唾液の分泌量は飼料摂取と反芻に掛かる時間に大きく左右されます。
<反芻の工程> 反芻に際し、ルーメンおよび第二胃内容物が反芻を受けます。反芻は、吐き戻し・再咀嚼・唾液混合・再嚥下の4工程に分けられます。吐き戻され、再咀嚼されるものを食塊と言います。食塊は、比較的流動性のある第二胃内容物が食道内に吸引されて作られます(ルーメンマットを形成する長い繊維が移行してきて口中で切断されるのではありません)。 食塊が食道に入ると、食道筋の逆蠕動により口腔に急速に吐き戻されます(1m./秒)。食塊中の余分な液状部分はすぐに再嚥下されます。 再咀嚼された食塊は充分に唾液と混合され、吐き戻し時よりゆっくりと再嚥下されます。再嚥下された食塊はルーメンの噴門部に入り、第二胃収縮によりルーメン後方へ放出されます。
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