<わが国における乾草輸入量の推移と現状> 平成19年度~平成25年度の各草種輸入量の実態 (注:集計の関係上、合計数字に誤差が生じることがあります) |
<輸入乾草の種類と輸入元> <輸入乾草の価格> Ⅱ.海上運賃 Ⅲ.他国の影響 Ⅳ.産地から利用までの流れ |
写真1:刈取りの様子 |
写真2:サンキュアリング |
2.保管 梱包された牧草は、業者がすぐに工場に運び入れる場合を除き、牧草生産農家の倉庫や圃場周辺にタープと呼ばれるものをかけて雨風をしのぎ、保管されます。保管中に紫外線による色抜けや雨などによるカビ発生もありますが、近年は品質に対する厳しい見方もあり、ずいぶんと少なくなりました。 また、保管されている単位(圃場ごと、生産者ごとなど様々)をスタックと呼んでいます。 |
写真3:右がタープがかけられた状態 |
写真4:牧草の保管 |
3.買付~製品化 現地のサプライヤーと呼ばれる業者によって、現地農家での品質確認(検品)、値決めが行われます。その年の出来不出来によって、生産国内外の引き合いの強さにより価格は上下しますが、その他の要因として、乾燥工程中の降雨による影響や刈取りのタイミングが遅れている場合、栽培する草種以外の混入、保管中の品質劣化などによっても価格が変動します。最近は、化学的な分析手法を用いた検品方法を行うサプライヤーも少なくありません。これら検品により格付けが行われ、この格付けをグレーディングと呼び、検品されたスタックごとにグレードが付けられます。 買付された牧草は、各サプライヤーが持つ工場や提携先の工場に運ばれ、製品化作業が行われます。以前は、single bale(シングルベール)と呼ばれる形態の牧草を2つから1つに圧縮するdouble compress(ダブルコンプレス)という工程を経た荷姿のものが多くありましたが、最近は、生産農家の作業効率向上による機械の大型化が進んでおり、大きなベールをそのままカットする方式や大きなベールをほぐして、再度梱包する方式、オーストラリアで多く利用されている大きなベールをティーザーと呼ばれる機械でほぐしながら一定の大きさにプレスする方式などが主流となっています。ただ、馬糧用に関しては、single bale(シングルベール)を使う場面もまだまだ多くあります。 この時に注文内容に合わせて、ビッグベールやハーフカットベール、ラップ巻などの工程を行います。 |
写真5:プレスマシーン① |
写真6:プレスマシーン② |
4.船積み~輸入 輸出入に必要な書類を準備した上で、注文内容に沿った牧草を40フィートのドライコンテナに積み込み、工場から輸出港まで運び込まれます。特に米国では、州ごとで運送に関する法律が異なり、コンテナ内に積み込み出来る重量が少なくなる場合もあります。輸出港から契約した船会社の船に搭載され出港します。例えば、北米航路(PNW)では、約2週間程度の航海を経て、日本の港に到着します。日本のコンテナ荷卸し施設があるコンテナヤード(CY)に荷卸しされたコンテナは、通関申請を行った後に農林水産省植物防疫所の検疫担当者による『植物検疫』を受けます。これを略して植検と呼ぶこともあります。指定病害虫が発生している場合は、指定燻蒸庫での燻蒸が必要となり、土砂や混入が禁止されている動植物が発見された場合はship back(シップバック)といい輸出国へ積戻しもしくは、廃棄処分になります。植物検疫に無事合格し、税関から必要書類の不備などの指摘がなければ、コンテナを無事にpickup(引き出し)が可能となります。コンテナをpickupするまでの一定期間無料でコンテナヤードに置くことが出来る期間があります。これは契約により期間が異なりますがこの期間をフリータイムと呼びます。このフリータイムを過ぎたコンテナをpickupするには、デマレージと呼ばれるお金を払った後でないと引取できません。 |
写真7:コンテナ詰 |
写真8:積出港(豪州) |
このように輸入乾牧草は、収穫されてから、実際に利用される方々のお手元に届くまで、長い時間をかけて運ばれてきます。 |