搾乳ロボットでの飼料給与

  ここでは、レリー社の搾乳ロボットの飼料給与方法について紹介いたします。
搾乳ロボットでの飼料給与④

                                   写真提供:コーンズ・エージー

<飼料給与の概要>
 レリー社では以前は、牛床→搾乳ロボット→飼槽→牛床という一定の流れのカウトラフィックというシステムでしたが、最近では飼槽、搾乳ロボット、牛床を自由に行き来できるフリーカウトラフィックというシステムを取っています。フリーカウトラフィックでは搾乳ロボット内で牛に濃厚飼料を給与することで、ロボットへの自発的訪問を促します。
 レリー社の搾乳ロボットでの給飼方法の設定には以下の2種類があります。
 ①固定量給飼→毎日一定の量を給飼
 ②プログラム給飼→乳量または泌乳日数に応じて給飼量を自動計算して給飼
 現状では②のプログラム給飼が多くの牧場で利用されているようです。
 プログラム給飼は、一つもしくは二つ以上の給飼テーブルで構成されています。
 ○乳量連動テーブル→乳量に応じて給飼量を設定するテーブル
 ○乳期連動テーブル→乳期に応じて給飼量を設定するテーブル

<PMRの給与>
 PMRとはPartly Mixed Rationの頭文字を取ったもので、部分的混合飼料と訳されます。TMR(Total Mixed Ration)と区別され、TMRから一部の濃厚飼料を抜き取ったものを混合して飼槽に給与する方法です。
 基本的な飼槽での設計レベルは牛群の平均乳量-7kgを推奨しています。                                    
 個体ごとに不足するエネルギーは、ロボット内で自動的に調整された給飼により充足させます。                     PMRの乾物給与量としては、その牛群や搾乳ロボットでの配合給与量に影響されます。群平均の1頭当たりの乾物摂取量を21~23kgと仮定します。仮に搾乳ロボットでの配合給与量が平均で5~6kg(乾物で4~5kg)だとすると、PMRの乾物給与量は16~19kgとなります。まずは、その牧場でどれくらいのPMRの乾物摂取量があるか調べる必要があります。

搾乳ロボットでの飼料給与③

 基本的には、エネルギーバランスがマイナスの時期である泌乳初期には、日数に応じて給飼を行なう乳期連動を利用し、その後は個体の乳量に応じて給飼を行う乳量連動を利用します。

<乳期連動テーブル>
 下記に乳期連動テーブル例を示します。

搾乳ロボットでの飼料給与②

 分娩後は1日0.3kgを目安に配合を増やしていきます。その後、一定期間、配合給与量を据え置いて、それ以降は乳量連動に切り替えていきます。下記に給与パターンのイメージを示します。

<乳量連動テーブル>
 下記に乳量連動テーブル例を示します。

搾乳ロボットでの飼料給与①

 ここで重要なのは、乳量ピーク時にPMR+搾乳ロボットでの配合給与でいかに栄養充足できるかです。

<その他の給飼設定>
 日給飼量変化の最大値→0.3kg/日
 1回の最大給与量→2.5kg
 ロボット内の給飼は1日の給飼量を時間ごとに割り返し、それを時間経過に伴って積算したものが搾乳時に給与されます。よって頻回にロボットを訪問すればするほど1回の給与量は少ないため、ルーメンpHの変動を少なく抑えています。また1回の給飼量が2.5kgに設定されるため、ロボット内で配合飼料が多給されることによるアシドーシスの心配は無いようです。1日最大8kg給与される場合は、3回ほど搾乳ロボットに入る必要があります。
 最大持越量(1時間ごとに溜まる給与量を繰り返す限界量)→4.0kg