サイレージの二次発酵に「サイロ見張番」

　　　　　　　　　　　サイレージの二次発酵に「サイロ見張番」を試してみませんか。
北海道版
＜はじめに＞
　 7月になり、北海道も気温も上がってきておりますが、皆様のサイレージは二次発酵していないでしょうか？当社では、サイレージの二次発酵抑制資材として「サイロ見張番MO」という商品を販売しています。これから二次発酵が問題となる時期でもありますので、サイロ見張番のご紹介をいたします。

＜サイレージの二次発酵とは＞
　サイレージが空気に触れることによって、酵母や糸状菌が増殖し、発熱などを伴って変敗することを二次発酵(好気的変敗)と呼んでおります。従って、一般的には、サイロを開封した後、空気が侵入することによって二次発酵が起こり、空気と直接触れるサイレージの取り出し面が、最も二次発酵しやすくなるということになります。つまり、サイロ全体ではなく、空気に触れやすい部分が局所的に変敗するのが二次発酵の特徴です。
　 サイロ見張番は、中でも最も二次発酵しやすい、サイロ開封後のサイレージ取り出し面の二次発酵を抑制するために開発した商品です（図1）。

＜サイロ見張番の効果＞
　カラシ油の香気成分は、特に酵母や糸状菌に対する抗菌作用が強いことが知られております。この商品は、分包から放出されるカラシ油ガスによって酵母・糸状菌の増殖を抑制し、変敗を遅延させます。
　タワーサイロのトウモロコシサイレージでサイロ見張番の効果を検討してみました(試験時期8～9月)。給与する分のサイレージを取り出した直後の断面は、空気にさらされている時間が短いために、二次発酵が進んでいません。それから次に取り出すまでの間(今回の試験では1日間)に空気にさらされることで、二次発酵が進むことになります。
　酵母菌数は、取り出し直後でも10の7乗cfu/gと高い状態で、1日後、無処理区側は10の8乗cfu/g弱まで増加しておりますが、処理区側は菌数の増加が抑えられる傾向にありました(図2)。
   サイレージのpHを見ると、取り出し直後はpH3.7前後で比較的良好でありましたが、無処理区側は1日でpH4.4まで上昇しているのに対し、処理区側は明らかにpHの上昇が抑えられ、変敗を抑制しておりました(図3)。
　また、使用していただいた農家さんからは、
・カビの発生が少なくなった。
・カビ発生によるサイレージの廃棄量が少なく
　なった。
　・発熱が抑えられていた。
　・嗜好性が改善された。
といった好感触のご感想が寄せられました。

＜野積みサイレージやTMRの変敗抑制効果＞
　サイロ見張番の特徴を利用して、次のような場面での効果を検討しました。例えば、サイロから取り出したサイレージを、すぐに給与しないで飼料庫などに野積みしておくことはないでしょうか？また、一度に数回分のTMRを混合して保管しておくことはないでしょうか？このような場合、空気が中に入りやすいために、短期間であっても発熱や変敗が起こる場合があります。このような場面を想定してサイロ見張番の効果を検討しました。
　 まず、バンカーサイロで調製したトウモロコシサイレージをサイロから取り出して、表面に見張番を取り付けた専用シートをかぶせて5日間保管し、サイレージの表面、表面から10cm下、20cm下のpHを測定した結果、サイロから取り出した直後はpH3.8だったサイレージが、無処理の場合pH4.5まで上昇し、変敗が進んでおりますが、見張番を処理した場合、pHの上昇が明らかに抑えられておりました(図4)。
　 TMRについても混合した後、容器に移して同様の処理を行い、容器の表層(上)及び20cm下にあるTMRの温度を測定したところ、無処理では20時間後から発熱し始めたのに対し、見張番の処理により発熱が抑えられることが分かりました(図5)。
　 以上の結果から、野積みサイレージであれば、サイレージを覆うように、TMRであれば給餌機やワゴンに入れたTMRの上に蓋になるように見張番を取り付けたシートをかけることで変敗抑制効果が期待できます。なお、TMRミキサーで保管している場面では、ミキサーを動かした際にシートを巻き込んでしまう恐れがあるので、注意が必要です。
　 サイレージの発熱や変敗は、食い込みに影響を与える重大な問題です。この問題を解決するために、サイロ見張番が少しでもお役に立てれば幸いでございます。