4)実施方法 (1)蹄浴の実施頻度 推奨される実施頻度はありません。重大な感染症の治療や制御を行う場合には、毎日行うべきです。予防が目的であれば、週に2~3日で十分といわれています。ただし、必ずしも年中行う必要はありません。春~夏にかけて、高温多湿条件となり蹄病が増える時期を見定めて実施します。 (2)薬液の交換頻度 薬剤の種類、蹄浴槽の大きさ、牛群の大きさ、前浴槽の有無(蹄浴槽の汚れ具合)、リターン通路の数によって異なります。
オキシテトラサイクリン蹄浴液の汚染効果に関するフロリダの研究では、50頭の牛が通過するとpHが変化する事が明らかになっています。また、50頭の牛が通過すると薬剤の活性が50%減少する事が明らかになっています。 硫酸銅も、蹄浴槽内で有機物によって急速に中和されてしまいます。 石灰乳の蹄浴については、経産牛78頭の牛群で、約200ℓの蹄浴槽を用いて、3日間薬液を変えずに蹄浴を行っても、菌の増殖やpHの低下が認められなかったと報告されています。ただし、3日間使用した薬液は糞尿と混合されてペースト状になってしまいます。これが蹄間に詰まって炎症を起こす恐れがあるため、3日に1度よりも高い頻度での交換が奨められています。 以上の点から、最低1日に1回以上交換するのが望ましいのではないでしょうか。 大規模な牛群では、全ての牛に対して、十分な薬剤の効果を発揮させるために、搾乳作業の合間に薬液を添加する必要があります。 (3)蹄の前洗い 前浴槽を設置する事ができない場合は、ミルキングパーラー内で蹄に付着した糞尿を洗い流すと効果的です。蹄の前洗いを実施している牧場では、高い蹄浴の効果が得られています。
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