TMRの中から濃厚飼料を選び食いすると、牛は亜急性ルーメンアシドーシスとなり、毛ヅヤの悪化、蹄病の発生、乳脂肪率の低下、乾物摂取量の低下、飼料効率の低下などの問題が発生します。ここでは、TMRの選び食いを防止するための取組の1つとして、加水を紹介したいと思います。 1.加水とは 2.どのような時に加水すべきか |
写真1.TMRを掘って、下に残る濃厚飼料を先に選び食いしている。 |
5)TMRの水分が高い(65%程度)場合でも、選び食いしているならば加水の効果があります。 3.加水の方法 |
写真2. |
4.現地事例 グラスサイレージの在庫量が足りなくなりそうであったため、ロールパックサイレージを1頭あたり4.5㎏程混合していました。このTMRの水分は65%程でしたが、明らかに選び食いしていました。実際に、毛ヅヤの悪化、蹄病、乳量の低下などの問題が発生していました。 1頭あたり8ℓの加水を行い、同時に、乾物摂取量を高める目的で、粉パルプを1頭あたり2㎏混合しました。 加水の前後で、TMRの物性が変化した。粗飼料表面が濡れており、濃厚飼料が分離しにくくなっていることが感じらました(写真3)。 |
写真3.加水前後のTMRの変化 |
加水開始から2週間経たずに、乾物摂取量が1.9㎏高まり、平均乳量が2.0㎏増加しました(図1.)。 |
図2.加水前後の平均乳量(6月5日加水前、6月18日加水後) |
加水を実施する手間はとても大変ですが、乾物摂取量の増加や、牛の状態の改善など、その効果は意外とわかりやすく、効果的な取り組みです。牛がTMRを選び食いしている兆候が見られたら、加水の実施を検討してみることをお勧めします。 |