堆肥化を行うには,まず堆積し始めた時の水分が60~70%程度に持っていくことが重要となります。この水分域に調整するのは,「微生物の活動をし易くする」ことや「発酵させるために堆積できる物性にする」が挙げられます。水分が低くなりすぎれば微生物活動が抑制されることもあり,水分が高すぎると堆積することができなかったり,通気が悪かったりします。また,ある程度高く堆積することで発酵熱の保温などの効果もありますし,この熱により微生物活動を促したり,繁殖させたくない微生物や雑草種子も抑制したり,さらには有機物の分解にも関与します。 その水分を調整するには2つの方法があります。まず水分の少ないものを混ぜて落とす方法があります。これにはオガクズや麦稈など表のような資材と混合して水分を調整します。もう一つは,固液分離などの水分を分離して落とす方法となります。 |
この簡単そうに見える水分調整には,よく勘違いをしてしまう落とし穴があります。まず水分の少ない物を混ぜる場合,例えば固形分10・水分90のものに固形分80・水分20のものを1:1で混ぜたとき,固形分90・水分110となり,水分は55%になります。しかし,このときに量が倍になっていることを忘れていけません。実際の堆肥化でも同じ事が起こり,堆肥の容量が増えて置き場所に困るというケースはよくあります。 |
一方,固液分離などで水分を分離した場合は,分離後の水分含量,処理方法の2つを気にしてください。例えば,固形分10・水分90のものを固液分離などで90の水分のうち50を分離したとします。今まであった水分の半分以上が分離できたから,分離後の水分は40%位だろうなんて思うと大失敗します。図のように分離したあとは容量も少なくなっていますので,水分は80%にしかならないのです。それでは結果的に容量が減るから良いじゃないかと思うと,これも大失敗します。分離した液はどこかへ消えていくわけではないですし,自分の敷地内にあることを忘れないでください。分離しても決して容量が減るわけではなく,液の処理も必要になってきます。しかし,容量が増えるわけではないことは覚えておいてください。 |