3.マメ科牧草の特性と栽培(都府県版)

 マメ科牧草はイネ科牧草に比較してたん白質(窒素)やカルシウム、マグネシウムといったミネラル含量が高く(表 3-1)、良質粗飼料を生産する上で欠かせない草種です。しかし、年間を通じて安定したマメ科割合を維持することが難しいことから、現場では利用が敬遠されがちです。
 マメ科の代表的な草種である、アカクローバ、シロクローバ、アルファルファをご紹介します。

 マメ科を利用する際には、播種量(混播量:下記の各草種に記載)の設定が、その後の草地の永続性に影響するので留意します。
(1)アカクローバ
 アカクローバは栽培しやすく、イネ科牧草との混播相手として幅広く利用されていますが、比較的生育が旺盛な為にチモシーと混播した場合に、チモシーの生育を抑圧することがあります。チモシーと混播する場合は0.1kg/10a、オーチャードグラスと混播する場合は0.3kg/10a程度の混播量が適当です。
(2)シロクローバ
 シロクローバは地上匍匐茎によって広がる特性を持ち、葉の大きさから3つのタイプ(大葉型・中葉型・小葉型)に分類されます。
 マメ科牧草のなかでは草丈が低く、大きく収量に貢献することはありませんが、匍匐茎で広がるため、裸地の発生を防ぐ効果があります。混播量を増やしすぎるとイネ科牧草を抑圧するのはアカクローバと同様であり、チモシーと混播する場合は0.1kg/10a、オーチャードグラスと混播する場合は0.3kg/10a程度の混播量が適当です。

①大葉型
 特徴は葉が大きく、草丈が高く、イネ科牧草との競合力が強いことです。イネ科牧草の中では生育が旺盛なオーチャードグラスやペレニアルライグラスの混播に適します。地域によっては早生のチモシーとの混播が推奨されていますが、夏季に夏日が継続するような天候ではチモシーの再生が緩慢になることから、クローバの生育によってチモシーが抑圧される場合があります。
②中葉型
 葉の大きさや草丈、イネ科牧草との競合も大葉型と小葉型の中間にあたります。この型は放牧や採草といった利用場面が多く、ほとんどのイネ科牧草との混播に適します。
③小葉型
 他の型に比較して葉が小さく、草丈が低いのが特徴です。チモシーの中・晩生品種との混播に適します。
(3)アルファルファ
 アルファルファは「牧草の女王」と呼ばれ、嗜好性と栄養価が優れるマメ科草種です。アカクローバは栽培の容易さから広く普及していますが、アルファルファは栽培方法や調製方法が比較的難しいことから 栽培地域が限定され普及が遅れていました。しかし、最近では品種改良によって栽培地域を広げることが可能になりました。
 また、アルファルファに使える除草剤、ハーモニーDFが開発されギシギシ等を選択的に除草できるようになりました。本剤でアカクローバやシロクローバが薬害で枯死する場合がありますが、アルファルファはその影響を受けにくい特徴があります。
 都府県でのアルファルファ栽培に関する詳細は次項「4.アルファルファの利用方法と栽培(都府県版)」もご参照ください。

※ 本文中の除草剤は、2023年8月現在農薬登録のあるものを掲載しています。