(株)更別TMRセンター

1.概要(2011年稼働時点)
    経営形態:株式会社
    総工費:約2.5億
    構成農家戸数:10戸(フリーストール4戸、タイストール6戸)
    経産牛頭数:約760頭
    草地面積:草地 約350ha、デントコーン150ha

2.施設関係
    飼料庫:学校の体育館を再利用
    バンカーサイロ:約1,500㎥×18基(その後2基増設)
    機械:ショベル2台、ミキサー1台、コンベア、(ダンプ2台は(有)更別運輸所有)

       写真1.飼料庫
3.運営形態
                図1.運営形態

4.特徴
  ①学校体育館を再利用し建築コストを抑えている。
  ②粗飼料作りに重点を置いている。
  ③サイレージの他は、配合2種、トウモロコシフレーク、蛋白源といったシンプルなメニューである。
  ④平均が1万1千kgを超える高泌乳のTMRセンターである。

5.TMRセンター稼働前後の個体乳量の推移

               図2.個体乳量の推移
6.TMRセンター稼働前後の出荷乳量の推移
                図3.出荷乳量の推移
7.サイレージ品質向上の取り組み
1)植生改善
  稼働前に植生調査を行い、2012年に69ha、2013年に47haの草地更新を行った。その際に栄養価の高いペレニアルライグラスの混播を行った。
2)調製作業の改善
  普及センターがい中心となって現地検討会を実施した。①サイレージの原料草を薄く拡散する、②バンカーサイロ中央部は念入りに踏圧するといった改善案が出された。
写真2.サイレージの調製作業風景
サイロの踏圧はスロープを長くして、ホイルローダー2台で踏んでいる。

8.TMR品質の一貫性
1)混合順序
 更別TMRCの混合順序は濃厚飼料、サイレージの順序で行う。炭カルのみ手投入で、他はタンクから投入出来るので、作業体系が非常に楽である。シンプルなメニューなので一貫性が保ちやすい。
2)混合時間
  稼働時にパーティクルセパレーターで混合時間の設定を行った。その結果、3分以上の混合時間であればよしとされた。現在はそれぞれの牧場の給与体系に応じて30秒、2分、3分、5分の混合時間である。ミキサーで給与している牧場は、その際に再度撹拌されるので、混合時間を短くしている。
3)水分測定
  更別TMRCは毎日、それぞれのサイレージを3回水分測定する。最終的にはTMR責任者がTMRの食い込み状況を見て、他の牧場と連絡を取り、乾物%を決定する。それをTMRセンターの事務所に伝え、エクセルで作成された混合シートに反映させる。
4)飼料分析と飼料設計
  一貫性を保つために分析をかけるタイミングが難しい。同じバンカー内でも成分が変動することがあるので、関係者と連絡を密にする必要がある。更別ではサイレージの分析はバンカーサイロが変わる都度、もしくは同じバンカー内でも内容が変わる時に分析を行う。その都度、飼料設計は行うが、あまり大きな変更は行わない。

9.TMRの種類
   TMRセンターではいろいろな飼養形態、考え方の牧場があるので、それぞれに合ったTMRを供給することが必要である。更別TMRCで調製しているTMRは以下の4種類である。
①乳量設定35kg:TMR一本給与のタイプ、フリーストールの牧場、タイストールで高泌乳牧場に供給。
②乳量設定30kg:トップドレス最大4kg給与のタイプ、自動給飼機、タイストールの牧場に供給。
③乳量設定25kg:トップドレス最大8kg給与のタイプ、搾乳ロボット、自動給飼機の牧場に供給。
④育成・乾乳牛用

          表1.乳量設定35kgのTMRの内容

10.飼養体系
1)TMRセンター移行時
 TMRセンター移行時にはステージごとの飼料給与体系、施設を確認し、それに適したTMR給与方法について相談し、給与体系シートを全戸に配布した。
2)乾乳牛の飼養体系
  適切な乾乳舎を持っている牧場が多く、敷料も豊富に敷かれている。乾乳牛は全戸乾乳用TMRを給与しており。クロースアップは乾乳用配合飼料を給与している。
3)疾病対策
下記の4大疾病対策を重点に行っている。
①周産期病
 乾乳牛を適切な施設、乾乳用TMRを給与することにより予防している。
②蹄病
 牛床には牛床マットと多めに敷料を敷くことによりカウコンフォートを高めている。フリーストールでPDDが発生する場合はフットバス等の対応がされている。
③乳房炎
 牛床はどの牧場も衛生的で乾燥しているため、乳質が良い。
④繁殖障害
  乳量が高いため繁殖には苦労している。その中で、定期的に繁殖検診を行う、万歩計と導入する等して少しでも繁殖成績を高めようとしている。