(1)西南暖地
①極早生品種
イタリアンライグラスの早生~中生品種を4月に収穫後、スーダングラスを5月中に播種します。極早生品種であれば年3回収穫することも可能ですが、1番草の収穫が梅雨の終わりごろ、2番草の収穫時期が台風シーズンにかかるため、安定して品質の良いサイレージを収穫することは難しいと思われます。
②早生品種
極早生品種よりも1週間程度出穂の遅い早生品種であれば、年3回の収穫は難しくなりますが、天候が不安定な時期をある程度は避けて収穫することが可能です。2番草までの収穫であれば極早生品種よりも多収となります。2番草収穫後、イタリアンライグラスの播種まで余裕がありますので、この時期に堆肥を散布することも良策です。
③晩生品種
年によっては梅雨明けが7月後半までずれ込むこともあり、早生品種であっても収穫適期を逃してしまうことがあります。出穂の遅い晩生品種であれば、しっかり梅雨明けを待ってから収穫することが可能です。一方で茎が太めで乾きにくい品種が多い為、サイレージの発酵品質では難がある可能性もあります。2番草以降の収量性は極早生・早生品種に劣ります。
④梅雨の影響
イタリアンライグラスを2番草まで収穫すると、播種前あるいは播種直後に梅雨入りしてしまいます。その場合、播種は梅雨明けを待ってから行います。梅雨明けの時期が早ければ極早生品種を播種して2回収穫するのが良策です。梅雨明けが遅れた場合は1回刈りでも多収な早生品種や晩生品種を播種します。
(2)関東・中部
①極早生~早生品種
イタリアンライグラスとの輪作を前提とした場合、極早生品種を5月中に播種し、2番草まで利用するのが最も多収となります。ただし西南暖地と同様、1番草の収穫適期に梅雨明けしていないことを考えると、早生品種の方が安定性の面では有利となります。
②晩生品種
梅雨明け前に収穫適期を迎えるリスクを回避する為には、晩生品種を播種します。一方で晩生品種を2番草迄利用してしまうと、イタリアンライグラスを10月中に播種することが難しくなります。その場合の冬作には11月以降も播種できるオオムギやライムギ、ライコムギを利用します。
(3)東北南部
①極早生品種
複数回の収穫で多収を得るスーダングラスの特性を活かすには、極早生品種を2回収穫する栽培体系を組むのが良策です。早生品種では1番草の収穫が遅れ、2番草が十分生育しない内に気温が低くなってしまう恐れがあります。
②晩生品種
2回収穫することが難しい場合は、1回刈りでも多収となる晩生品種を栽培します。ただし極早生品種に比べて茎が太く乾きにくい品種が多い為、収穫にはモアコンディショナーの使用が推奨されます。