6.牧草の競合力と混播組合せ

 イネ科牧草とマメ科牧草を混播することで、収量や家畜の栄養バランスがより優れた草地になります。その場合、組合せる草種や品種には注意が必要であり、牧草の競合力のバランスが重要です。組合せを間違えるといずれかの草種が衰退し、その後の裸地の発生や雑草の侵入に繋がります。
(1)イネ科牧草の競合力
 イネ科牧草の競合力はペレニアルライグラスやオーチャードグラスが強く、次いでメドウフェスク、チモシーの順です。特にチモシーは刈取り後の再生が緩慢なため、1番草刈取り後に競合に負けてしまい、マメ科牧草が優占してしまうケースがあります。
 チモシーは早晩性の違いによって競合力が異なります。初期生育が良く再生が旺盛な早生品種は比較的競合力が強く、中生、晩生品種の順に競合力は弱い傾向があります。また、チモシーは早晩性による競合力だけでなく、品種特性として競合力(混播適性)に優れる品種が育成されています。
(2)マメ科牧草の競合力
①アルファルファの競合力
 アルファルファは初期生育が緩慢ですが、十分に生育した株の再生力は旺盛です。再生力の強さに応じて競合力も変わります。再生が旺盛で競合力が強い品種は、チモシーの早生品種やオーチャードグラスとの混播利用に適しています。一方で、生育が旺盛すぎるためにチモシーの生育を抑圧してしまう事例もあります。当社では生育が緩慢で従来品種よりも競合力が穏やかな、チモシーの中生品種との混播も可能な早生タイプのアルファルファの育成も手掛けています(写真 6-1)。

②アカクローバの競合力
 アカクローバは採草利用される草種で、早晩性によって競合力が異なります。早生品種は1番草収穫後の再生力が良好で競合力が強いため、刈取り後の再生が比較的旺盛なチモシーの極早生・早生品種やオーチャードグラスとの混播に適しています。晩生品種は1番草収穫後の再生力が穏やかで競合力が弱いため、刈取り後の再生が緩慢なチモシーの中生・晩生品種との混播に適しています。
③シロクローバの競合力
 シロクローバは小葉の大きさで大葉型・中葉型・小葉型の3タイプに分類され、小葉が大きいほど競合力が強くなります。
 大葉型は競合力が強く、主に採草利用時のオーチャードグラスなど競合力が強いイネ科牧草との混播に適しています。中葉型は生育が穏やかでイネ科牧草を抑圧するリスクが低く、チモシーの極早生から中生品種、ペレニアルライグラスなど多岐にわたって混播利用が可能です。小葉型は主に競合力が弱いチモシーの中生、晩生品種との混播に利用されます。

④最適な混播組合せ
 イネ科牧草の各草種に対して、組合せが適するマメ科牧草を表 6-1に示しました。表は基本的な組合せですが、土壌条件や気象条件によってはマメ科牧草の生育量が異なるため、ここに示した組合せが全てではありません。播種量などを含め、具体的な混播設計についてはお近くの営業所へお問い合わせください。