<低酸度二等乳の発生時期> 乳牛がアルコール不安定乳を泌乳しやすい季節は、春の青草の豊富な時期、入梅時から夏にかけてと言われており、さらに9月の季節の変わり目に発生しやすいとされています。 春先の青草の時期については硝酸塩との関連が検討、報告されています。入梅時から夏にかけて発生する二等乳は高温高湿における悪条件によって体力を消耗する場合が多いようです。9月頃発生する二等乳は春の難所、夏の難所を乗り越えてきたが、秋に入る季節の変わり目にきて体力が落ち発生する場合が多いようです 乳牛の生理上、アルコール不安定乳の出やすい時期は泌乳最盛期と乾乳前です。泌乳牛最盛期は生理上のホルモンバランスの乱れというよりも、1回に35kg以上も泌乳する高能力牛に発生が多く、泌乳による体力の消耗が原因とされています。このような牛は管理にあたってTDNおよび蛋白の質、そして良質な粗飼料源を十分考慮した飼料給与をすることが大切です。 分娩末期の二等乳は乳牛のホルモン変調により発生すると言われており、この対策としてはリンカルの大量投与(1日2~300g)か、クエンサンカルシウムの注射、さらにはビタミンADEの投与が効果的だそうですが、このような処方に対しては獣医師とよく相談して下さい。
<低酸度二等乳の発生防止対策> 低酸度二等乳の原因には前述したように環境による影響、疾病による影響、ホルモンによる影響、給与飼料状態による影響などが挙げられますが、防止対策としてはこれらの原因の除去、すなわち飼養環境と飼養管理の改善に重点を置く必要があります。特に飼料給与と低酸度二等乳には密接な関係があり、影響の過不足あるいは不均衡が大きく影響していることに関心をよせる必要があります。方策としては給与飼料の成分、特に粗飼料の成分を可能な限り正確に把握し、最新の飼養標準(日本飼養標準やNRC飼養標準)に沿った飼料給与を実施することが肝心です。
参考資料:低酸度二等乳はエサで防げる 小野 斉(デーリィ・ジャパン別冊「あなたのエサ給与は間違っている」(1981年9月) 99~115ページ) 山口県畜産会 H10年酪農経営管理技術指導実績
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