トウモロコシの収穫

(1)トウモロコシの収穫適期について
 トウモロコシの収穫適期は黄熟中期~後期です。黄熟期にはデンプンが蓄積し種子表面から硬化していくので爪で押しても潰れません。
 この時期に収穫することで雌穂収量が高く、サイレージ調製時の排汁も少ないため最も高い栄養価を維持できます。さらに、乳牛の採食量も最大となります。

(2)収穫適期を知る方法
 雌穂を割って収穫適期(黄熟中~後期)を確認することができます。雌穂を割り、先端側の黄色い部分(デンプン)と芯側の白色部分(乳汁)の割合が写真Ⅰ-7-1に示すようにおおよそ1:1になる時が収穫適期の目安です。

(3)トウモロコシ収穫時の留意点
 サイレージの詰込密度が低くなると、サイレージ開封後の好気的変敗のリスクが高まります。
 詰込密度を高めるためには切断長を短くすることが有効です。一方で、切断長が短すぎると乳牛の第一胃内の恒常性を維持する為に必要な繊維が減少します。そのため、破砕処理をせずに黄熟期に収穫する際の切断長は10mmが目安となります。黄熟期以降はコーンクラッシャーによる破砕処理が有効で、トウモロコシ(特に雌穂)の第一胃内の消化率や穂軸の採食性が向上します。

(4)未熟収穫の対応と被霜による影響
 やむを得ず未熟で収穫する場合、ビートパルプ等による水分調整が有効です。また、登熟期の季節的な気温の低下により登熟が進まず、黄熟期収穫が見込めない場合は、被霜させることにより水分含量を調整することができます。
 トウモロコシの茎葉が1/3程度白っぽく脱色する程度の「軽い被霜」であれば水分含量が低下し、サイレージの水分調整に有効です。しかし全体が脱色するほどの「重い被霜」の場合はpHの上昇を招き、サイレージ発酵に悪影響を及ぼします。被霜の程度が重い場合は早めに収穫します1)。

引用文献
1)降霜がトウモロコシサイレージの発行品質、飼料価値ならびに圃場損失へ及ぼす影響 
岩崎 薫、名久井 忠、早川 政市 日草誌 26(4): 418~423 (1981)