1.経年草地の雑草対策

(1)経年草地に使用できる除草剤
 経年草地の雑草対策は除草剤による処理が中心であり、雑草の種類によっては防除が困難なものもあります。例えばリードカナリーグラスやシバムギなどの地下茎型イネ科雑草が優占した場合は、それらの雑草に対し選択的に効果のある除草方法はなく、更新を検討しなければなりません。経年草地に使用でき、ギシギシに適用がある除草剤を表 1-1に記しました。

①「ハーモニーDF」散布の留意点
・アカクローバは完全に枯死します。アカクローバ混播草地にはアージラン液剤を散布します。
・シロクローバには甚大な薬害が生じますが、完全には枯死せず回復します。
・イネ科牧草とアルファルファは一時的に生育が停滞しますが、やがて回復します。
・散布後は直ちに専用の洗浄剤でタンクやホース内を洗浄します。
・夏処理についてはイネ科牧草についても生育抑制がみられることがあります。夏期高温時の薬害の
 程度はアシュラム剤に比べて少なくなります。
・散布液の飛散や流出によって有用植物に薬害が生じることのないよう、十分注意して散布します。
②「アージラン液剤」散布の留意点
・春処理の場合には、当該番草に生育抑制及び黄化がみられます。
・高温時または降雨前の散布、重複散布は避けます。
・採草、放牧直後の散布は避けます。
・秋散布の場合、当年はギシギシ類の黄化のみとなり、翌年春に枯死します。
・秋期散布は最終採草後に行います。
③「バンベル-D液剤」散布の留意点
・マメ科雑草には薬害を生じるので、イネ科草地で使用します。
・散布薬剤の飛散、あるいは流出によって作物に薬害が生じることがないように十分注意します。
・秋期散布した牧草への使用は避けます。
・ギシギシ防除にあわせて、セイヨウタンポポやアメリカオニアザミ(いずれもキク科)にも効果が
 あります。
・散布後はマメ科牧草も消失するので、防除後の裸地にはマメ科牧草を含む牧草種子を追播します。
(2)ハーモニーDFについて
 「ハーモニーDF」はギシギシ類に対する効果が高く(写真 1-1)、近年広く普及しています。クローバ類に「ハーモニーDF」を散布すると甚大な薬害が生じるため、チモシーとクローバ類との混播草地に使用することはできませんが、アルファルファには「ハーモニーDF」の薬害が少ない(生育抑制はみられます)ため使用することができます。
 ギシギシの発生が予想される場合は、「ハーモニーDF」の散布を前提にクローバ類の代わりにアルファルファを混播することが得策です。

※ 本文中の除草剤は、2023年8月現在農薬登録のあるものを掲載しています。