(1)播種時期と雑草対策
播種時期は地域により異なりますが、4月下旬から8月一杯が播種可能な期間です。雑草対策の面及び越冬性から考えると、8月頃の播種が適期ですが、土壌凍結が厳しい地域では7月中の播種が推奨されています。春播種は、雑草が落ち種として既に発芽準備をしているところに牧草の種子を播くことになるので、できるだけ早く播種しないと雑草に負けてしまいます。
表 2-1は北海道立総合研究機構(道総研)畜産試験場において、4月下旬、5月上旬、5月中旬に播種した時の1、2番草の生草の草種構成割合を示しています。この結果から、春季は播種時期が遅くなれば1、2番草共に雑草割合が多くなると共に2番草ではチモシーが極めて少なく、アカクローバの割合が高くなりました。
アルファルファも他の牧草と同じように8月頃の播種が、雑草対策からは適しています。しかし、他の牧草よりも初期生育が遅いために越冬前に十分な生育量(冠根部の貯蔵養分)が確保されなければ冬枯れのリスクが高まります。農研機構北海道農業研究センターでは、マイクロソフト社の表計算ソフト「エクセル」上で動作する牧草播種晩限日計算プログラムを2種類開発し、公開しています。
気象庁アメダス版(利用制限なし)
https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2017/17_059.html
農研機構メッシュ農業気象データ版(利用制限あり)
https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2018/18_063.html
また、道総研酪農試験場では、「根釧地域におけるチモシー主体アルファルファ混播草地の最大土壌凍結深別播種晩限マップ」を開発し、公開しています。
https://www.hro.or.jp/list/agricultural/research/konsen/labo/sakumotsu/hasyubangen.html
このシステムを用い、根釧地域のチモシー主体アルファルファ混播草地の播種晩限を調べた一例を図 2-1に示しました。地図は拡大表示が可能であるため、播種を検討している圃場の位置に応じた播種晩限を調べることができます。
(2)播種時に除草剤を利用した方法
トウモロコシ跡地を牧草地に更新する場合は、春季に播種することになり、できるだけ早く播種する必要がありますが、どうしても雑草に負けてしまうことがあります。そこで考え出されたのが、グリホサート系除草剤の播種前雑草茎葉散布(播種床処理)です。リードカナリーグラスやハルガヤなど種子で増殖する雑草が多い草地を更新する際にも、この手法を用いて更新することが推奨されています。具体的な作業工程は別稿「除草剤の利用方法2.更新時の雑草対策」をご参照ください。