家畜糞尿で見込める肥料成分

   家畜糞尿の有効利用と聞いて誰もが第一に挙げるのが「堆肥やスラリーを減肥や土壌改良を目的に施用する」と答えるでしょう。このよう排泄された家畜糞尿の中には牧草が必要な肥料成分が含まれています。しかし、牧草が堆肥やスラリーに含まれている成分を利用するには、吸収できるような形まで分解されなければなりません。そのため、ただ堆肥やスラリーに含まれている成分の全てが肥料として使われるわけではありません。
   堆肥やスラリーの成分が分解され、牧草や作物が利用できる形になる割合を肥効率言います。一般的な肥効率は下記の通りです。

肥効率1

   しかし、オガクズ、鉋屑、バークといった木質の水分調整剤を用いている場合、必ずしも上記のようになるとは限りません。オガクズ、鉋屑、バークは、腐熟の指標となる炭素率が非常に高いため、ある程度の堆積発酵後であっても、麦稈やワラを使用した堆肥に比べて炭素率がなかなか低下しない場合や、炭素率がある程度低下してきた堆肥でも思った肥効率が得られない場合があります。特に窒素については注意が必要です。

肥効率2

   実際に堆肥やスラリーの成分値から見込める肥料の成分量を算出するには下記のような計算を行います。
   1t(1000kg)施用した場合
   堆肥(スラリー)原物の成分%/100×1000kg×成分の肥効率/100