土壌のpH

  土壌の酸度の指標です。厳密には3種類のpHの方法が存在しますが,一般的な土壌のpHはpH(H2O)で表示します。通常の作物では5.5~6.5程度で生育が良くことから,5.5~6.5が目安とされます。しかし,日本の土壌は酸性を示すものが多く,その要因は火山灰土壌であることと多雨気候からカルシウム,マグネシウムといった塩基類が乏しいことが上げられます。未耕地土壌では5以下の土壌も珍しくありません。
   土壌のカルシウム,マグネシウム,カリウムといった塩基やそれらを保持する能力の塩基置換(交換)容量から算出される塩基飽和度と密接な関係があります。塩基飽和度が低ければ,土壌のpHは低くなり,高くなれば土壌のpHも高くなります。おおよそ塩基飽和度が80%程度で6.0~6.5程度になります。
  分析方法は土壌1に対して2.5倍量の純水を加えて1時間振盪し,pHメーター(写真)で測定します。また電気伝導率ECとの同時分析を行う場合は,土壌1に対し5倍量の純水を加えて行いますが,分析結果にはほとんど影響はありません。アメリカなどでは土壌1に対し1倍量の純水で行っていることもあります。

土壌pH1 土壌pH2
  このようにpHは割合が変わっても大きく変わらないのは,元々pHとはどういうものかを考えると分かってきます。pHとは0~14までしかなく数値が7より大きければ大きいほどアルカリ性が強く、逆に小さければ酸性が強くなります。pHは水素イオン濃度(酸のもと)と水酸化物イオン濃度(アルカリのもと)の量で決まります。両者の数を足すと必ず1014(100兆)個になります。各pHのとき水素イオンと水酸化物イオンの数は表のようになります。つまりpHが1変わるにはイオンの量が10倍必要になるわけです。