TMR飼養:栄養管理面の留意点2.TMR調製作業のポイント

・ 現状把握、事前情報をもとに設計改善(修正)作業へと移るわけですが、その牛群が抱えて
   いる問題点を認識しながら実施することが肝要です。

TMR飼養調製作業1

①群分け:群管理の重要性
 TMRは、1群1頭とみなして設計されるため、群編成いかんによってTMRの栄養濃度は大き
   く変化します。
 牛群平均9,000Kg以上の高泌乳群では1群管理が比較的スムーズに実施できますが、個体
   間のバラツキが大きい場合や、多頭数管理の場合は複数の群による管理、TMR設計を勧
   めます。(表1参照)

TMR飼養調製作業2

 その他、群分け時の検討に必要な項目としては、群頭数、BCS、泌乳日数、平均乳量(FC
   M)、繁殖サイクル、給飼作業性などがあり、その牛群、飼養状況に応じて調整すべき内容
   です。
②養分濃度の設定
 該当牛群に対するTMR設計する場合、その平均乳量にリードファクターを加味して設定乳量
   を決めます。平均乳量もFCMを用いた方が良いでしょう。
   * リードファクター係数=(平均乳量+標準偏差)/平均乳量
   その他、簡易方法として;1群では平均乳量×1.3、2群以上では、平均乳量×1.1~1.2
   とする場合が考えられる。
 次に重要なポイントは、乾物摂取量の予測です。概ね設定乳量に要求される乾物量をカバー
   すべく組み立てますが、この場合は、事前の牛群状態と設計後のTMR採食状況と合わせて
   調整図ることが肝要です。
 乾物量と供給養分が決定されると、そのTMRの各養分濃度が設定されるわけですが、ここ
   で、TMRは1種類の飼料として養分濃度(成分値)を重視して調整していきます。養分濃度
   設定後は、常に牛群モニターを実施してTMR内容にフィードバックさせることが肝要です。
③TMRの水分(乾物)
 TMRの乾物摂取量に影響を与える一つの要素が水分含量です。図1は、TMR採食量と水
   分含量との関係を示したものですが、水分50%以上になると総採食量はほとんど増加せ
   ず、乾物摂取量が急激に減少してくことが分かります。水分含量は重要な意味を持っている
   ことを理解して下さい。

TMR飼養調製作業3

 実践現場においては、高水分サイレージしかない、コスト等で水分調整用途の副産物や乾
   草が入手し難い、サイレージ使用量を低下させるとセンイ濃度などバランス悪化する、という
   ような状況が複合してTMR水分が高めとなるケースが発生していると推測されます。このよう
   な場合、サイレージ発酵品質が良好であれば採食性確保できますが、発酵品質不良の時は
   そのサイレージ使用量を低減させて購入飼料(粗飼料源、乾草類)の活用を図るべきでしょ
   う。
④TMRのパーティクルサイズ
 TMRの乾物摂取量に影響を与えるとともに、ルーメン機能(VFA産生、反芻など)にも影響を
   与える要素が、TMRの粒度分布(パーティクルサイズ)です。
 設計段階で、ADFやNDF濃度、粗飼料比率が充分であったとしても、TMRそのものが細か
   すぎてはいけません。表2に、サイレージおよびTMRのパーティクルサイズのガイドラインを示
   しましたので参考にして下さい。

TMR飼養調製作業4