放牧地の混播設計は地域の気象条件や放牧地の利用方法(放牧専用地、兼用地、利用回数など)により決める必要があります。各草種の特性一覧を表 1-1に示しました。また、放牧地の混播設計については様々ありますが、当社が推奨する混播例①~③を以下に示しました。
(1)混播例①:ペレニアルライグラス主体
ペレニアルライグラス主体の集約放牧向け混播例です(表 1-2)。ペレニアルライグラスは利用回数を多くするほど茎数を増加させ、裸地を減少させて草地の密度を高めます。草丈20cm以下(年間10回以上)で利用することにより、草地の利用率を高め、草地を高密度で維持することができます。また、ペレニアルライグラスは家畜の嗜好性や季節生産の均一性(秋の生産性も高い)にも優れています。
ただし、ペレニアルライグラスは耐寒性や雪腐病耐病性が劣るため、越冬条件が厳しい道東での利用は推奨されていません。
(2)混播例②:オーチャードグラス主体
オーチャードグラス主体にメドウフェスクを補助草種としたものです(表 1-3)。オーチャードグラスとメドウフェスクの混播は季節生産性(春はオーチャードグラスの生育が良好、秋はメドウフェスクの生育が良好)のバランスが取れた組合せです。いずれも越冬性に優れる草種であるため、道東地域での利用に適しています。
道北・道央・道南地域においてはメドウフェスクをペレニアルライグラスに置き換えることが可能です。
(3)混播例③:チモシー主体
牧草の越冬条件が厳しい道東地域で利用されている混播例の一つです(表 1-4)。チモシーは秋の生産性が低下するため、それを補完する目的でメドウフェスク(越冬性はペレニアルライグラスやオーチャードグラスより優れる、秋の生産性が優れる)を混播しています(写真 1-1)。メドウフェスクを混播する場合は、チモシーとの競合力を考慮し、混播量を0.2kg/10a程度に抑える必要があります。
放牧に利用するチモシーは早生品種よりも中晩生品種が適しています。これらの品種は一般に2番草以降の節間伸長茎(出穂茎)が少なく、葉部割合が高いのが特徴であり、また短草条件で密度が高まる傾向にあります。