土壌は何からできているの?

   日本全国で「土づくり」という言葉は何処へ行っても必ず見かけます。一見もっともらしく,立派な言葉ですが,実に内容は曖昧なものです。しかし,その土,土壌は何からできているのでしょうか?

○粘土と砂 ~土性はこれで決まる~
   土の構成成分は、無機物と有機物の大きく二つに分けられ,無機物については「粘土」と「砂」になります。粘土の元は地球の地殻を構成している岩石です。岩石が雨(水)や空気(酸素,二酸化炭素等),風,熱など(物理的作用)によって変質,風化作用を受けて「粘土」に変化します。一方でなかなか風化されないで残った部分が「砂」となります。
  粘土が少なく,砂の多い土壌は砂土(Sand)と呼ばれ,排水性(水はけ)などは良好ですが,保水力(水もち)や保肥力(肥料もち)は落ちます。逆に粘土の多い土壌は埴土(Clay)と呼ばれ,逆の性質を示し,粘土と砂の割合が土壌の性質(土性)を左右する大きな要因となります。農業に適した土壌は粘土と砂が半々程度の壌土(Loam)と呼ばれる土壌です。
   それでは土性を調べるにはどの様にしたらよいのでしょうか?簡単に調べる方法がありますので紹介します。親指と人差指で少量の土壌をつまみこねてみてください(土壌が乾いているときには少し水で湿らせてから行ってください)。その時の感触で以下のように土性が分かれます。表-1から分かるように粘土と砂で感触が違ってきます。粘土はツルっとした滑らかな感触であり、砂はまさにザラついた感触です。是非自身で体験してみてください。

土壌は何からできているの

○粘土鉱物 ~世界一の土と日本の土~
   粘土の含量が大きく土壌の性質を左右すると紹介しましたが,含量だけでなく種類によっても異なってきます。世界で最良の土壌は,以前に原発事故のあったチェルノブイリ付近,アメリカを横断するようにあるコーンベルト,アルゼンチンの湿潤草原(パンパ)等にあります。これらはMollisol(モリソル),チェルノーゼム等と呼ばれ,黒~暗色で私たちが良く知っている火山灰黒ボク土壌と見た目は同じです。

   しかし,火山灰黒ボク土壌は痩せた土壌だと良く聞きます。それでは何処が違うのでしょうか?  それは粘土鉱物の種類が異なり,その粘土鉱物の主成分であるケイ酸と酸化アルミニウム(アルミナ)の構造の違いが良し悪しを左右するのです。チェルノーゼムは結晶性粘土鉱物のモンモリロナイトであるのに対し,火山灰黒ボク土壌は非晶質粘土鉱物のアロフェンです。この二つの大きな違いは前者のCECは後者の10倍近くあり,保肥力が大きいことです。
  CECとは土壌が持っているマイナス荷電の量のことです。マイナスの荷電を持っている事でCa2+,Mg2+,K+,NH4+といった作物の養分となる+イオンを電気的に保持することができるわけです。つまりCECの大きな土壌ほど,前記の養分などをたくさん持つ事ができる器を持ち合わせているため保肥力が高いのです。CEC:1me/100gあると土壌100gでCaだと20mg,Mgだと12mg,Kだと39mg,NH4だと18mgを保持することができるわけです。