フリーストール

<平面計画>
  現在、建設されている牛舎は2列ダブルが一般的です。列数が増えると、ストール当たりのコストは安くなりますが、換気が難しくなる、一頭当たりの飼槽幅が狭くなる等の欠点があります。
  2列ストールはヘッドバイパスと分列ストールがあります。全体のストール数は横断通路の分、ヘッドバイパスのほうが少なくなります。
  牛舎の配置としては、乾乳牛、育成牛を含め全体的な配置を考える必要があります。また、給餌、除糞、牛の移動などの動線を検討し、増築などの将来構想を加味します。

<ストール>
  快適なストールとは、①横臥に十分な広さがあること、②柔らかく弾力性があること、③乾燥していること、④清潔で細菌が繁殖しにくいこと、⑤起立、横臥を安易にかつ安全に行えることが挙げられます。
  最近、新しく建設されている牛舎では、なるべく起立、横臥時に障害物になるような構造になっています(下記写真)。

フリーストール1

   牛床の素材は砂、牛床マット、火山灰、コンクリートなどがあります。
   砂はクッション性において最適な素材ですが、糞尿処理、厳寒期の凍結の問題をクリアーする必要があります。また、粘土質が3%以上含まれると、固くなってしまう可能性があるので注意が必要です。
   牛床マットはいろいろな素材が開発され、トップカバータイプ、ゴムチップ圧縮タイプ、成型ゴムタイプ、発泡ゴムタイプなどがあります。
   火山灰は安価な素材ですが、固まりやすく凸凹になり衛星面に問題が出てくる場合があります。
   コンクリートは飛節が腫れたり、滑るなどの欠点があります。
   ネックレールは高さ130cm前後が推奨されています。既存の牛舎でネックレールを高くする場合は下記写真のようにパイプを使い調整する事例が見られます。

フリーストール2

   ブリスケットボードは牛が前方に座り、起立できなくなるのを防ぐものであり、角のあるものや硬すぎる素材はひざを痛めるので好まれません。
   縁石は高すぎると、牛がストールに入るのを嫌い、低すぎると、除糞時に糞尿がストール内に流れ込む可能性があります。牛がストールに入りやすいことを考えると、高さはマットも含めて20~25cmが望ましいです。
   ストールのサイズは幅が芯々で115~117cm、ヘッドバイパスのストールの長さは、縁石から縁石までで450cm、正面が壁構造のストールは、内側の有効寸法で240cmが推奨されています。

<通路>
   外側通路:最低270cm、300cmが望ましいです。
   採食通路:最低390cm、420cmが望ましいです。
   中央給飼通路:最低540cm、570cmが望ましいです。
   横断通路の幅は、水槽がある場合はストール3個分、横断通路の数はストール12個に対し1箇所必要です。
   滑り止めの幅は、深さは1.0~1.3cm、溝の間隔は縦溝で5~8cm、ダイヤモンドパターンの溝で10~15cmが推奨されます。
   通路の素材はコンクリートが一般的ですが、最近、建設された牛舎では通路用ゴムマットを敷くところがあり、蹄病予防、乾物摂取量増加などの効果が期待できます。

<飼槽、水槽>
   飼槽壁の高さは、50~55cm、段差(通路と飼槽表面)は8~15cmが一般的です。飼槽のネックレールの高さは120~130cmが推奨されていますが、これは前方へ突き出す長さによっても影響されます。
  水槽槽は15~20頭毎に1個必要で、水の深さは15~20cmが望まれます。水槽の種類はボール型と電熱型があり、前者の長所は電気代がかからないが、短所は内部が飼料で汚れやすく、掃除がしにくいです。後者の長所は水の汚れがわかりやすく、掃除が容易であり、短所は糞が入ることがあることや、電気代がかかることです。