2.芝生の造成方法

 芝生の造成は、種子の実播と張り芝の2つの方法があります。種子の実播による造成は、とても経済的で美しく仕上げることができますが、芝生の完成までには2~3ヵ月の養生期間を必要とします。一方張り芝による造成は、価格が割高になってしまうため大規模な面積には適しませんが、時期を選ばず造成することができ、直ぐに芝生を楽しむことができます。いずれの方法を用いる場合も、芝生は一度造成してしまうと、床土の改良ができないため、床土づくりが非常に大切です。
(1)床土づくり
①芝生は、日当りと水はけが良く、風通しも良い場所を好みます。これらの条件が整わない場合は、庭木などの障害物を移動したり、水はけが良くなるように土を盛って、芝地を高くしたりします。
②住宅の周りには芝生に向かない建築残土が残っている場合があります。砂利が混じっていたり、粘土が多かったり、芝生に向かない土壌の場合は、黒土を20~30cm客土します。必要であれば暗渠や排水層を設置してから客土します。
③播種する場所の雑草、石などを完全に除去し、スコップ(あれば小型トラクターのロータリー)を使用して、芝生の根が生育する深さ10~15cmまでの土壌を耕します。
④基肥として成分量8-12-10%程度の芝生専用化成肥料を、50~100g/㎡散布します。pH改良の必要がある時は石灰を150~200g/㎡同時に散布し、表土と良く混合します。
⑤大人が乗って、軽く足跡が付く程度(写真 2-1)まで鎮圧し、レーキを使って床土の表面が平坦になるまで整地を行います。全体に傾斜を付けるか、中央を少し高くして雨水が溜まらないように整地すると、排水が良好になり芝草が健康に生育します。

(2)種子の実播による造成
①ケンタッキーブルーグラスの一般的な播種量は、20~25g/㎡です。先ず始めに、面積分の種子を準備しておきます。
②床土づくりが終わったら、レーキなどを用いて、床土表面に予め筋を付けておきます。
③手播きで播種します。種子を予め等分しておき、数回に分けて縦横斜めに播種を行うと、均一に播種することができます(図 2-1)。面積が大きい場合は、回転式の散布器や落下式の播種機で播種を行います。

④覆土として、②のレーキ跡と垂直になるようにレーキをかけ、床土と種子を良く攪拌します。
⑤板を敷いて上に乗って(あればローラーを使用して)鎮圧を行います(写真 2-2)。種子を床土に密着させることで、種子を発芽直後の乾燥からある程度守ることができます。

⑥寒冷紗やムシロなどで表面を被覆すると、極度の乾燥を防ぎ、種子の発芽が揃います。乾燥がひどい場合は、散水を行います。
⑦播種後、10~14日位で発芽します。発芽直後は、フザリウムやピシウムなどによる立枯れが起こることがあります。これら病害に対応した薬剤を散布すると、防除することができます。
⑧刈取りは草丈が70~80mmになったら開始します。1回目の刈取りは、葉先を揃える気持ちで、50mm程度に刈揃えます。1週間に1~2回程度刈取り、徐々に刈高を下げていきます。
(3)張り芝による造成
①先ず始めに、面積分のロール状の張り芝を準備しておきます。芝生の張り方は、「目地張り」と「ベタ張り」があります(図 2-2)。目地張りは、芝と芝の間を空けて(目地)張って行く方法です。目地は3cmが標準で、芝生の必要面積は80~90%程度で済みますが、目地が埋まるまでには2~3ヵ月を要します。ベタ張りは文字通り100%に張る方法で、材料を多く必要とします。隙間を空けずに張るため、芝生が早く完成します。張り芝は、園芸センターなどで購入しますが、長期間、巻かれたままになっていると、葉先が黄色くなり芝生が傷みますので、入手したら早めに張るようにします。

②床土づくりが終わったら、芝生を張り始めます。中央部の適当な所に真直ぐに糸を張り、糸に沿って張り始めます(図 2-3)。

③端まで芝生を張り、余ったら形を合わせてカマなどで切取ります。切取った破片は最後まで取っておき、周辺部で形が不定形の場所などに張り付けます。
④全面に張り終わったら、芝生の上からふるいを使って目土を散布します。葉が隠れない様に厚さ5mm程度に散布し、レーキや熊手を使って、目土を芝目に良く擦り込みます。
⑤板材で叩いたり、板を敷いて上に乗ったりして、(あればローラーを使用して)鎮圧を行います。張り芝を床土に密着させることで、根を良好に活着させることができます。目串を挿すと、張り芝を固定でき、良好に活着させることができます。
⑥十分に散水を行い、根が下りるまでは、芝生の中に立ち入らない様にします。
⑦張り芝後、2週間~1ヵ月ぐらいで、張り芝から新しい白根が下り、活着します。端の方を持ち上げてみて芝生が剥がれない様であれば、芝生の完成です。
⑧活着するまでの期間に草丈が伸びてしまった場合は、一気に刈込まず、葉先を揃える気持ちで、1回目は50mm程度に刈揃えます。1週間に1~2回程度刈取り、徐々に刈高を下げていきます。