土壌の中のリン酸(植物が食べるリン酸,土が食べるリン酸)

 有効態リン酸(植物が食べるリン酸)
  植物が利用可能なリン酸の指標として使われます。しかし,この有効態リン酸にはトルオーグ法,ブレイ2法,オルセン法の3つの代表的な方法が存在します。同じ土壌でも出てくる結果が大きく異なる場合があるので使い分けが必要になります。

リン酸説明

   草地では施肥前の状態で,ブレイ2法有効態リン酸で土壌100g中に20~50mg程度あれば,標準施肥量で良いとされています。一方,デントコーンやその他作物では施肥前の状態で,トルオーグ法有効態リン酸で土壌100g中に10~30mg程度あれば標準施肥量で良いとされています。
   道内では2つの方法の有効態リン酸が用いられていますが,他都府県ではトルオーグ法のみです。これは栽培等の基準作りをしていた時代に,北海道の草地についてはブレイ2法を用いて調べていたため,今もこのように使われています。

リン酸吸収係数(土が食べるリン酸)
   この項目は作物か利用できるリン酸を評価する項目ではなく,土壌が施用されたリン酸をどれだけ固定したしまい使えなくしてしまうかの指標です。
   土壌中では溶け出たアルミニウムや鉄などとリン酸が結合してしまうとほとんど溶けない形になっていまい,その結果植物にはほとんど利用されないリン酸になってしまいます。そのアルミニウムや鉄は火山灰土壌に多く含まれており,酸性土壌で多く溶け出します。そのため昔から『日本の土は酸性だから,火山灰土壌が多いから,リン酸が多く必要だ』と言われるのはそのためです。
   リン酸吸収係数は数値が高い程リン酸を固定して使えなくしてしまう能力が高いことを示します。高いから良いという項目ではありません。一般的には1500を超えるような土壌は火山灰土壌とみなしてよいですが,北海道では火山灰土壌であっても1500以下のものも見られます。また,この項目はその土壌自体が持つ固有の特徴なので,高い結果が出たからといって低くしようとしても改良することは難しいので,その結果を踏まえ上手に付き合っていきましょう。