草地更新には、除草剤散布によって既存植生を枯殺させ、プラウ耕起等を行って牧草を播種する完全更新と、完全更新の工程を一部省いた簡易更新の2種類があります。いずれの手法で草地を‘若返らせるか’は草地の状況と土地条件を把握することが重要です。以下に、完全更新にするか、簡易更新にするかの指標を示しました。
(1)完全更新
- ①完全更新の前提条件
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- 牧草株が少なくなり、収量が低くなった。
- 牧草の生育に影響を与える強害雑草(シバムギ、チカラシバ、ヒメスイバ等)が優先してきた。
- 土壌の化学性(主にpHの低下)や物理性(排水不良、土壌が硬くなる)が悪くなった。
- 牧草の古い根や枯葉が草地の表層に堆積(ルートマットという)し、それが極端に厚くなった。
- 牧草の収量を高める為に、収量性を高めた新草種や新品種に変えたい。
- ②完全更新の利点
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- 強害雑草を除草剤で駆除でき、良質な牧草による草地改善ができます。
- 堆肥を活用でき、既存植生のルートマットをプラウ耕によって埋没することができます。
- ③完全更新に適する牧草
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- 採草地:オーチャードグラス、チモシー、トールフェスク、アカクローバ、アルファルファ
- 放牧地:ペレニアルライグラス、ケンタッキーブルーグラス、シロクローバ、バヒアグラス、ノシバ、センチピードグラス、バミューダグラス
(2)簡易更新
- ①簡易更新の前提条件
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- 土壌条件が比較的良好で、強害雑草の侵入が少ない。
- 牧草密度の低下が比較的少なく、収量低下が比較的軽い。
- 圃場が傾斜しており、小石や礫が多くて耕起作業ができない。
- 裸地が増え2番草ではヒエやメヒシバが優先してきたため、生産性を上げる草種に変えたい。
- 低コストで草地を更新し、翌春の1番草収量を維持したい。
- ②簡易更新の利点
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- 更新機械(トラクター等)の稼働時間が完全更新に比較して短く、作業時間が短期で済む。
- ③簡易更新に適する牧草(初期生育に優れる草種選定が重要です)
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- 採草地:オーチャードグラス、トールフェスク、フェストロリウム、イタリアンライグラス、ハイブリットライグラスは1~2年の極短期利用に適する。なおイタリアンライグラスは1番草収穫後に種子が結実すると、牧草地で雑草化することがあるため、刈り遅れに注意。
- 放牧地:ペレニアルライグラス、シロクローバ