1.TMRの給与時間と量、回数
栄養的要素が組み込まれたTMRの設計は、栄養管理面の留意点内容を網羅することでクリアーできますが、その成否はTMRの採食によって決まると言っても過言ではありません。
如何により多くのTMRを採食させるかは、給与管理面におけるポイントを把握し、採食させるための対策を講じる必要があります。
- TMR飼養の利点の一つに、ルーメン正常安定化による生産性の向上がありますが、給与量、タイミング、回数によっては、かえって不安定になる場合があることに注意すべきです。
- TMR給与後1~2時間で大半が採食しているとしたら、「かため食い・スラグフィーディング」が起きていることになります。
これらの点は、TMRの「量、タイミング、回数」などが影響与えています。

- ①TMRの量と回数:ミキサー容量と飼槽状況に左右される
- 1日1回給与の場合は、飼槽へのエサ寄せも重要となります。
- 2回以上の場合、残飼量を把握し、不足しないよう注意する必要があります。
- TMRが発熱している場合は、使用している粗飼料に大半が起因しています。
その際、発熱防止添加剤を散布することも考えられますが、回数を増やすことでも対処できます。作業性等を考慮して対策を講ずるようにします。 - 給与タイミングを加味することも必要です。
- ②TMR給与のタイミング:食欲が増すタイミングは、給餌直後と搾乳前後
- この食欲の増すタイミングの時に、TMRが充分採食できるよう調整することが肝要です。

2.周辺環境の整備
- TMRの採食を良好にするもう一方の手段は、牛群の行動(採食、休息、移動、飲水など)を妨げない周辺環境を整備することです。
- そのため、逐次牛群をモニターし、対策事項(栄養管理面も含め)へフィードバックすることが肝要となります。
①換気
- 牛舎内の換気の良し悪しが、TMR摂取量に影響を与えることを認識すべきです。
- 換気方式は、牛舎構造により、オープンリッジ、セミモニターなどがありますが、基本的には、空気が淀むことなく、入れ換えが随時されている状態が好ましい環境です。最近では、送風機を利用するケースが多く見受けられるようになりました。

②牛床、通路
- 牛の休息場所であるベッド(牛床)の良し悪しは、採食のみならず蹄やその他の疾病につながる重要な要素です。
- 主に、敷料の内容とベッドサイズとスペースがポイントとなりますが、まずは、ニードロップなどでクッション性を確認しつつ、こまめな敷料管理をすべきでしょう。
マット使用の場合は、加えて衛生管理も必要となります。 - 通路は滑りにくく、牛の移動に余裕のある幅が必要でしょう。また、除糞の頻度も留意するポイントです。
- 基本は、クリーン&ドライを励行することです。

③飼槽・水槽
- 飼槽スペースは、1頭当り60~70cm必要とされていますが、牛群サイズ、牛舎サイズなどにより左右されるポイントです。留意点は、採食時に余裕のある姿勢が取れるようにすることです。
- 水は、栄養源の一つとして捉えて良いでしょう。それだけ、飲水量の確保と新鮮さがポイントです。乳量が多い程、飲水の量も多くなることに注意すべきです。

TMR飼養は、Plan, Do, Checkの反復です。牛への気配りを心掛けましょう。