MUNは、Milk Urea Nitrogenの頭文字をとった略で、乳中尿素窒素を表しています。牛が発信するタイムリーな情報源となります。
- MUNは、蛋白質代謝の最終産物であり、乳牛が必要としない余剰な蛋白質を示しています。
- 飼料の蛋白質(特に分解性蛋白質)とエネルギー摂取のバランス指標、牛の栄養状態を把握する モニタリング項目になり得る内容です。
- アンモニアが過剰に生成すると、MUNが増加します。
- アンモニアを利用して微生物蛋白質を合成する為のエネルギーが不足するとMUNが増加します。

【蛋白質利用におけるMUNの適正範囲】
正常な蛋白質利用におけるMUNの範囲があります。
- バルク乳の場合・・・10~14㎎/㎗
- 個体乳の場合・・・8~16㎎/㎗

上記5)以外の領域での長期間放置は障害発生の危険性があるため、改善する必要があり、その方策・考え方については、以下内容を参考にして下さい。

【MUNを活用することによる利点】
- 乳生産を最大にする。
- 栄養ロスの低減。
エネルギーの損耗を軽減する。蛋白質ロスを軽減する。 - 繁殖成績の向上
余剰な蛋白質は、尿素となり生殖器にも移行します。生殖器内で尿素濃度が高まるとpHが高くなり、受胎率が低下します。 - 疾病の減少
余分なアンモニアは肝臓で尿素に転換されますが、その状態が長期化すると肝臓にダメージを与えます。
【MUN活用のための留意点】
1)チェック項目
以下の項目を確認しつつ、飼料給与内容の変化する毎に、MUN値経過をモニタリングすることに留意して下さい。
- 給与蛋白質が期待通り乳生産等に反映しているか。
- 蛋白質分画バランスに配慮。分解性蛋白質が過剰であれば高MUNとなる。
- 飼料給与順序に配慮。
→設計上バランスが取れていても、繊維源、エネルギー源、蛋白質源をどの順序で摂取しているかによって、数値は変動する。 - TMRの採食状況に注意。選び食い、序列による採食変動も数値に影響を与える。
2)実践現場での注意
- 飼料に関係する前の問題がないか確認すべき。
→飼料不足、採食出来ていない、採食のための環境が整備されていない、等。 - 一時的、断片的に比較しない。種々の要素を考慮し、納得出来る数値と管理を探る。
- MUNだけで判断せず、牛群・個体が発信しているシグナル(ボディコンディション、糞、毛づや等)、 乳量・乳成分と連動して判断する。
- 主体は酪農家である。