家畜糞尿の堆肥化と乾燥物の違い

   表題のタイトルはまだまだ混同されていることが多い項目です。その違いについて触れたいと思います。
   堆肥と乾燥物は家畜糞尿を用いて作るところは同じですが,水分が50%程度くらいになれば見た目や物性も区別はつきにくいです。しかし,作る過程で大きな違いが出てきます。堆肥はある程度堆積発酵の期間を経て出来上がります。一方,乾燥物は熱や天日などで家畜糞尿中の水分を蒸散させ出来上がります。堆肥は長い期間を掛け,乾燥物は短期間でと考えられ,出来上がったものにも大きな違いがあります。
   下記の図のように,それぞれ出来上がった物の容量が一緒の場合、左側の乾燥物は水色の部分の水分が蒸散しただけで、中身の有機物の変化は生糞とあまり変わりません。一方、発酵させた堆肥は,もちろん水分の蒸散も起こりますが,有機物の分解等が起こっているため,生糞と比較すると有機物の絶対量が少なくなってきます。

堆肥化と乾燥物2

  乾燥物の場合,水分の蒸散がほとんどで有機物の分解の点では乏しいため,施用後に水分を吸収
したとき,生糞に近い状態に戻り急激な有機物の分解が起こり,臭気,ガス等が出る場合もあります。堆肥化をしたものは,すぐに分解される有機物は発酵過程で分解され,その間に臭気,ガス等も抜けていきます。その点では発酵させた堆肥の方がリスクは少ないかも知れません。
しかし,乾燥物にもメリットは無いわけではありません。堆肥化をおこなう上では水分調整が欠かせません。その水分調整にはオガクズやワラ等といったものが必要です。地域によってはこのオガクズや
ワラ等が入手困難な場合があります。そのような状況では乾燥処理のメリットが出てきます。