ラップサイレージ、および乾草の乾物給与量の推定

 乾物摂取量を把握し、飼料計算を行う上で、粗飼料の乾物摂取量(飼料から水分を除いた量で、1日1頭あたりどのくらい摂取しているか)を推定することは非常に重要です。
 きざみサイレージならば、TMRへの混合量にサイレージの乾物率をかけることで、乾物給与量を把握することができます。例えば水分含量75%のグラスサイレージを、1日4000kg、90頭の牛に給与したとすると

4000kg×(100-75)÷100÷90頭=11.1kg

上記の計算で、1日1頭あたり乾物で11.1kgのグラスサイレージが給与されていることが分かります。
 一方ロールサイレージでは、大きさが異なったり、水分がばらついたりすることが多く、乾物給与量を把握することが難しくなります。そこで有効な調査結果が、宗谷普及員ロールベール調査班によって発表されています(表1)。

table1

 この表は、芯巻きのロールベールは水分含量が異なっても、大きさによって乾物の量がほぼ一定であることを利用して、乾物給与量を推定するものです。例えば幅120cm×直径150cmの1番草のラップサイレージならば、約340kgの乾物量を含むということです。このサイレージを、1日に2個、60頭に給与したとすると

2個×340kg÷60頭=約11kg

上記の計算で、1日1頭あたり乾物で約11kgのラップサイレージが給与されていることが分かります。
 同様に草架において給与している場合も、やや大雑把となりますが、その採食量を推定することが可能です。例えば幅120cm×直径160cmの2番草の乾草を、2日に1個草架に補充し、これを45頭の牛が採食したとすると

 1個×400kg÷2日÷45頭=約4.4kg

上記の計算で、1日1頭あたり乾物で約4.4kgを草架で採食していると推定できます。ただしこの場合は、パドックに引き落とす量を考慮して減じなければならないので注意が必要です。