チモシーの特性と品種について

<北海道において最も広く利用されている牧草>
    チモシーは北海道において最も広く利用されているイネ科牧草であり、また、北海道以外では青森県などの東北北部で主に利用されています。チモシーが北海道で広く利用されている主な理由は、耐寒性や雪腐病に強く、永続性に優れていること、刈り遅れても嗜好性が低下しにくいことなどが挙げられます。チモシーは北海道における主要な草種であることから、品種数も多く、極早生から晩生までの出穂の幅は約1ヶ月にも及びます。

チモシーの特性1

<チモシーの欠点>
   チモシーの欠点として、刈取り後の再生が遅いこと、干ばつや高温に弱いこと、秋の生産性が低いことなどが挙げられます。特に混播する際は、2~3番草において他草種との競合が問題となり、混播相手や混播割合、栽培管理を誤ると永続性が低下する恐れがあります。
また、オーチャードグラスと比較すると倒伏に弱く、品種改良においては、耐倒伏性は重要な育種目標となっています。倒伏すると、収穫ロスや蒸れにより裸地が発生する場合があり、また材料草が高水分となるため、サイレージの発酵品質が低下しやすくなります。

チモシーの特性2

<チモシーの病害>
  葉枯性の重要病害として、チモシー斑点病が挙げられます。チモシー斑点病は冷涼多湿の条件で発生しやすく、北海道では道東地域で多い傾向にあります。チモシー斑点病は冷涼多湿条件のほか、窒素などの肥料成分の不足によって発病が助長されるので、適切な肥培管理が必要です。

チモシーの特性3

<チモシーの品種と出穂始>
   北海道におけるチモシーの出穂始は、極早生品種で6月上旬、晩生品種で6月末であり、約1ヶ月程度の差があります。これらの品種を組み合わせることによって、刈取り適期を拡大することができます。また、各地域の収穫スケジュール(晴天率が高いなど)に合った品種を選定、利用することができます。

チモシーの特性4

<極早生品種>
   クンプウは最も出穂が早い品種であり、北海道では6月上旬に出穂始をむかえます。クンプウは春先から収穫までの生育期間が短いため、1番草は早生や中生品種よりも低収ですが、刈取り後の再生力が優れるため、2番草は他の品種よりも多収になります。東北地方では、梅雨時期前に収穫する必要があるため、極早生品種や早生品種が主に利用されています。

<早生品種>
   ホライズン、ノサップ、オーロラはクンプウよりも出穂始が1週間程度遅く、6月中旬ごろに出穂始をむかえます。弊社育成のホライズンは、1番草刈取り後の再生力と耐倒伏性に優れる品種です。早生品種は再生力やマメ科との混播適性、耐倒伏性が良好な品種が多いことから、比較的作りやすく、1、2番草ともに安定した収量を確保できます。チモシーの栽培にあたっては、早生の熟期を中心に栽培し、収穫が1週間以上かかる場合に極早生、中生品種をあわせて栽培するのが良い方法です。

<中生品種>
   ホクエイ、アッケシ、キリタップは早生品種よりも出穂始が1週間程度遅く、6月下旬ごろに出穂始をむかえます。弊社育成のホクエイは、1番草刈取り後の再生力と耐倒伏性に優れる中生品種です。中生品種は生育期間が長く、1番草が多収となりますが、一般に早生品種よりも倒伏が発生しやすくなります。また、再生力が早生品種よりも緩慢であるため、混播するマメ科牧草に留意する必要があります。

<晩生品種>
    シリウス、ホクシュウ、なつさかりは中生品種よりも出穂始が数日~1週間程度遅く、6月末ごろに出穂始をむかえます。弊社育成のシリウスは、1番草の収量、斑点病抵抗性、マメ科との混播適性に優れた品種です。晩生品種は早生、中生品種よりも2番草以降の出穂茎が少なく、葉部割合が高い傾向にあり、また短草条件で密度が高まる傾向にあることから、兼用や放牧利用にも適しています。シリウス、なつさかりは主に採草利用に適していますが、兼用、放牧にも利用可能です。ホクシュウは草型が開帳型(ほふく型)に近く、分げつも多いため、主に放牧利用に適しています。

チモシーの特性5