アカクローバの特性と品種について

<アカクローバは採草利用における重要なマメ科牧草です>
   アカクローバは越冬性に優れ、アルファルファよりも土壌環境を選ばずに栽培できるため、北海道において広く利用されているマメ科牧草の一つです。利用用途としては、主に採草利用においてチモシーやオーチャードグラスと混播して利用されています。
   アカクローバなどのマメ科牧草はタンパク質やカルシウムなどのミネラル含量が高く、嗜好性に優れるため、牧草の栄養価や嗜好性を高めるうえで重要な役割を果たしています。またマメ科牧草は、共生する根粒菌の窒素固定により、土壌中の窒素分を増やす働きもあります。これらの窒素はイネ科牧草にも利用されるため、マメ科牧草が適度に混播された草地ではイネ科牧草の生育も良好であり、少ない窒素肥料で多くの収量を得ることができます。

アカクローバ1

アカクローバ2

<アカクローバの欠点>
   アカクローバは短年性であるため、草地での永続性はおよそ3~4年であり、利用年限が短いのが欠点の一つです。また、アカクローバは1番草刈り取り後の再生力がチモシーよりも旺盛であるため、気象条件や混播組み合わせによってはアカクローバがチモシーを抑圧し、優占してしまう場合があります。アカクローバが優占した圃場は、その後のアカクローバの消失により裸地が多い草地となってしまうため、アカクローバを混播する際は、播種量に気をつけるだけでなく、チモシーとの混播適性が優れるアカクローバを利用する必要があります。
  なお、アカクローバが消失したあとは、イネ科単播草地となってしまいますが(シロクローバを混播した場合は除く)、簡易なアカクローバの追播技術が確立されています。アカクローバは初期生育が比較的良好であることから、既存植生への定着が容易であり、低コストで草地をよみがえらせることができます。

<アカクローバの病害>
  茎葉病害では、茎割病、サビ病やウドンコ病などが重要病害になります。また、各草種に共通しますが、雪腐病が永続性に影響する重要病害であり、抵抗性を高めるべく品種改良が行なわれています。

アカクローバ3

<アカクローバの品種と特性>
   アカクローバは早生品種と晩生品種があり、それぞれ再生力(競合力)が異なるため、混播するイネ科草種や品種によって使い分ける必要があります。
    アカクローバの早生品種は、1番草収穫後の再生力が良好で競合力が強いため、オーチャードグラスやチモシーのなかでも再生力が良い極早生品種や早生品種との混播に適しています。アカクローバの早生品種にはマキミドリ、ナツユウ、ホクセキなどがあり、いずれも越冬性が優れており、4年程度の永続性が期待できます。アカクローバの早生品種の開花始は6月中~下旬ごろになります。
    アカクローバの晩生品種は、1番草収穫後の再生力が穏やかで競合力が弱いため、刈取り後の再生が緩慢なチモシーの中生品種との混播に適しています。アカクローバの晩生品種にはクラノがありますが、2007年に新たにアレス(Ares)が北海道優良品種に認定されました。以下に新品種アレスの特性を紹介します。

<アレスの特性>
1)   開花始はクラノよりも更に遅く、晩生に属します。開花始は6月末~7月であるため、通常の刈取り
      では開花が確認できない場合もあります。
2)   競合力はクラノより穏やかです。チモシーとの混播におけるマメ科率は30~40%を概ね維持し、年
      次間および番草間の変動がクラノより小さく、混播適性に優れます。
3)    チモシーの中生品種との混播適性に優れるほか、チモシーの早生品種との混播にも利用できま
      す。マメ科牧草が優占しやすい条件では、アカクローバの早生品種のかわりにアレスを利用のも
      一つの方法です。
4)   永続性はクラノより優れます。
5)   菌核病にはクラノよりやや優れ、うどんこ病および葉枯性病害にはクラノ並みかやや劣ります。

アカクローバ4
アカクローバ5