細切サイレージの水分調整

  サイレージにおいて、水分は最も重要な項目です。近年、コントラクターを中心とした大規模調製作業が増加し、作業効率の面から予乾の時間が限られております。ここでは、細切サイレージにおける水分の影響を解説いたします。今一度水分調整の重要性を認識していただければ幸いです。

排汁への影響
  高水分でサイレージを調製すると、大量の排汁が流出します。排汁の流出は水分だけでなく、同時に栄養成分も失い、一方では大量の排汁が公害問題になることもあります。下のグラフから水分70%前後まで予乾すれば、殆ど排汁が発生しないことがわかります。

水分調整1

発酵品質への影響
  水分含量が発酵品質に影響を与えることは知られておりますが、改めて現地の実規模サイロで調査した内容を2つご紹介します。1つは畜産草地研究所の野中先生の調査結果です。十勝地域のコントラクターを活用した大規模バンカーサイロ(延べ32基)を調べたところ、下の表にあるように高水分(水分75%以上)では、VBN比や酪酸含量が高く、相対的に低品質だったのに対し、中水分では良質サイレージが調製されております。

水分調整2

   2つめは、道内のある牧場の半年間(9月~3月)のサイレージ27点を分析した調査結果です。個々のサイレージの水分とVスコアーをプロットすると、水分74%を境に74%以下であればVスコアー75点以上の良質サイレージ、74%以上であればVスコアー20点以下の劣質サイレージになっていました。水分によってこれだけ極端に発酵品質が変わったことからも水分調整の重要性が分かります。

水分調整3

刈取り時期を見直しましょう
  水分調整は、基本的に予乾するしかありません。最低でも昼間の半日(夜間は予乾しても殆ど乾きません)は予乾出来るように心がけましょう。
 また、刈取り時期を見直すのも有効かと思われます。一般的には刈り遅れを心配するあまり、早刈りする傾向にありますが、発酵品質面から考えると、刈取り時期を従来の早刈りの時期よりも若干遅らせることで水分が減少し(6月20日~30日の間に2~3%減少)、WSC含量は増加する傾向にあることから、発酵品質は改善されると思われます。また、草地の永続性の面からもチモシーの場合はしっかり出穂してから刈り取った方が良いとされています。
 極端な刈り遅れは問題がありますが、出穂始めから若干遅めの出穂揃い期で刈り取ることをお勧めいたします。

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