アルファルファ導入による高泌乳と集約的酪農経営の確立

北海道帯広市昭和町 道端 昌義 (39才)

 第12回全国草地コンクール飼料生産部門(永年草地の部)にて「農林水産省生産局長賞」を受賞された道端氏の経営概況について紹介いたします。

1.農業経営の変遷
 昭和12年豆類、雑穀を主体とした畑作経営を現在地でスタートし、昭和19年に乳牛1頭導入(貸付牛)し酪農がスタートした。
 昭和48年から良質粗飼料の重要性を認識しアルファルファ栽培の可能な土づくりを重点とし、昭和51年、乳牛20頭規模となり畑作との複合経営から現在の酪農専業に転換された。
 昌義氏は東京で生まれ埼玉県で育ち、東京でサラリーマン勤務を経験後、平成6年に道端氏の長女と結婚し平成8年に会社を辞め、道端農場の経営に参画し、平成14年に経営移譲を受け現在に至る。

2.経営の概要
(1)経営形態:酪農専業経営
  成牛舎構造:キング式(タイストール繋留方式)
  搾乳システム:パイプラインミルカー

kazoku

toti
shisetsu
tousuu
menu
gijutsu

 粗飼料生産基盤は採草地25.5haで経産牛55頭、育成牛50頭を飼養し年間ロールサイレージを60個程度購入以外はすべて自給し、年間出荷乳量は577t(平成18年)を生産している。
 機械は全て自己所有で草地更新はコントラクターに委託以外は自己完結型である。
 平成3年以降連続して、牛群10,000kg以上を突破し体細胞も年平均11~12万以内、生菌数も年平均1,500と良質乳生産に心がけている。
 成牛舎の内部で常に乾燥した清潔な状態で保てるよう心がけ、トンネル換気、石灰散布と豊富な麦稈を敷料として利用している。
 また、乳牛改良も心がけ体格審査では牛群平均85点、体形偏差値144.8で共進会にも参加し、全道ホルスタインナショナルショウにも出陳し、好成績を納めている。

3.草地の肥培管理技術について
 今回出品した「混播草地」の肥培管理について紹介する。

nensuu

sehi
sousyu

hibaikanri
namakusa

 アルファルファとの混播草種のチモシー品種のホライズンは耐倒伏性と再生力も優れており最適と思われる。生草収量では年間合計収量で出品草地6,622kg/10a、一般草地5,966kg/10aと高収量を確保している。3番草収穫後全草地に苦土炭カル70kg/10aを毎年施用していることが高収量を維持している要因と推察される。ロールサイレージの調製は水分55%前後を目安として予乾後ネット巻きを実施し、気密性と鳥害の被害防止として6重巻きとしている。

(まとめ)
 農地面積の拡大に制約がある十勝畑作の中核地帯に位置する酪農経営として放牧酪農は不可能であり、牧草生産への単一化と高泌乳、畑地帯における耕畜連携(麦稈と堆肥の交換)などの取り組みは高く評価できる。革新的技術の導入はないが、酪農経営の原点である「土づくり・草づくり・牛づくり」を長期間にわたり実践し、資産取得は全て自己資産で調達し、無借金経営であり集約的生産性の高い経営を確立されたことは高く評価できる。

                         

                        (帯広市農業振興公社 生産技術部長 森脇 芳男)