土の色と有機物、鉄

   土壌の色といえば黒,褐,黄,赤,灰,青,白などの色を組合せたものが存在します。世界で最良の土壌であるチェルノーゼムや火山灰黒ボク土壌は黒~暗色です。その他にも赤い土壌,黄色に近い土壌,灰色の土壌等があります。同じ土壌ですが何が違うのでしょう。
   チェルノーゼムと火山灰黒ボク土壌の黒~暗色を構成している部分は,実は有機物である腐植です。腐植は微生物などに分解を受け難いリグニン、タンニン、テルペン等が長い時間をかけ変化し、多糖類やペプチド等と酸化して生成します。最良の土壌と呼ばれるチェルノーゼムは牧草由来の腐植であるのに対し,日本の火山灰黒ボク土壌はススキ由来の腐植であり,由来は違えど腐植の分類には特に大きな違いはないのです。つまり,有機物の面では日本の火山灰黒ボク土壌もチェルノーゼムと同じで潜在的な能力は持っているのです。上手く改良すれば,チェルノーゼムに近づけることができるのです。
   腐植含量は土壌の黒色を左右します。土壌の色と腐植含有量の目安は下記の通りです。真っ黒な山土などは20%を超える場合があります。

土の色と有機物、鉄

   また土壌の色を大きく左右する要因として鉄が挙げられます。気温の高い熱帯地域では,レンガに似た赤い土のラトソル(ラテライト)と呼ばれる土壌が見られます。土壌中に含まれる酸化鉄が赤くなる(赤いさびと同じ)原因で,酸化鉄の量によって赤~黄色に分かれます。沖縄などで見られます。
  灰色の土壌も良く見ると思います。砂が多くなると灰色も強くなりますが,水田など水分が多くなってきても灰色が強くなってきます。更に水田を掘り起こすと下層から青味がかった灰色の土壌のグライ土が出てきます。この青味がかった色は還元状態での鉄の色です。また,この鉄が特殊環境下で溶脱してしまうと白い土壌ができます。
   このように土壌の色は腐植、鉄の含量や鉄の形態などによって決まることがあります。ぜひサンプリングする際、気を付けて見てください。